「『怖い』とか『こんな世界は嫌だ』とか、後ろ向きな印象を受ける人も多いようですが、ぼくはあまりそういうふうには思っていなくて」

 

近未来の東京を舞台にした映画『プラチナデータ』(3月16日より全国公開)について、そう語るのは主演の二宮和也(29)。映画は、国民のDNAを管理することにより、犯罪検挙率100%、冤罪率0%の社会が間近に迫る世界を、最新の技術を駆使してリアルに描いている。

 

「ぼくは悪いことをするつもりもないし、それ(DNAの管理)が犯罪の抑止力になるならいいんじゃないかな?って思う。ただ、たとえ検挙率が100%の世界になっても犯罪はなくならないと思いますけどね」

 

演じる人物について、”内面的な役作りはしない”と話す二宮。だが、敵対関係にある豊川悦司演じる刑事とスタジアムで対峙するシーンで流す二宮の涙は、感動的だ。このシーンは二宮の発案で生まれた。

 

「テストがない現場だったから、あそこも本番一回です。事前に『ちょっとやってみたいことがあって』みたいなことを豊川さんに言ったら『勝手にやってー』って。何を言うかも決まっていないし、ぼくもなって(演じて)みないと何をするかはわからなかったから、お互いに何かをするんだろうな、っていう状態でできたのがあのシーンですね」

 

2人の素晴らしいその即興のやりとりは、それまでの現場での交流が育んだものだろうか。なんでも二宮は、どの現場でもスタッフ全員の名前を下の名まで覚えるという。

 

「スタッフの人の名前を覚えるためにいちばん台本を開くかもしれない。小学校のとき、どの先生にも最初は『かずや』って出席をとられて。だから中学のときに、担任の先生に『かずなり』って呼んでもらえたことがすごくうれしかったし、みんなの名前を覚えたいのはそういうことかも。それに名前って、役者であろうとなかろうと関係なくフラットに話せる話題だと思うから」

 

国民的アイドル嵐のニノとしてではなく、その演技力が高く評価される俳優・二宮。彼の役者へのこだわりはそんなところにも表れていた。

 

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