「ミュージカルは、音楽の中でセリフを言ったり、音楽にのせて思いを伝えることが、日本語だと難しい部分があるんですよね。海外作品だと『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』など素晴らしい作品がありますが、日本でイチからミュージカルを作るってすごく大変で」
そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第74回のゲスト・Kinki Kidsの堂本光一さん(38)。7月にKinki Kidsデビュー20周年を迎え、主演舞台『Endless SHOCK』は17年目へ。「仕事がなかったら何もなくなってしまう」というほど仕事にストイックな光一さんが、同じく仕事が大好きな中山と語り合いました。
中山「主演舞台『Endless SHOCK』(以下『SHOCK』)の公演数がすごいことになっていますね」
光一「3月の千秋楽で1,500回を迎えます」
中山「帝国劇場の公演数でいうと、森光子さんが2,000回超え。光一くんはその後に続いて2位。何年になるんですか?」
光一「17年目になりますね」
中山「一言で振り返るのは難しいでしょうけど、どういう心境なのでしょう」
光一「初演のときは当然、長くやるとは思っていなかったんです。東山紀之さんもいましたし、今井翼とか、なんとなく系統の似た出演者が集まった公演で、お祭りのようなものだったので」
中山「ストイック系の人たちね(笑)」
光一「(笑)。それがまさか、翌年から自分1人でやらせてもらえて、いまに至るなんてまったく考えてなかったですから」
中山「先を考えずにやっていたわけですね」
光一「それはいまも同じです。来年も『SHOCK』ができると思ってやってるわけではないんですよね」
中山「その積み重ねの中、年齢も変わってきていますよね。若いからこそできたことも、いまだからできることもあると思いますが」
光一「それはありますね。ジャニー(喜多川)さんがこの作品を立ち上げたとき、僕は21歳。当時はストーリーや内容はほとんどどうでもいいところがあったんですね。それを、若さのエネルギーで補えちゃったんですよ。だけど、年を重ねるとそのときの爆発的なエネルギーはもうないですし、お客様の目もどんどん肥えていく。そういった意味でも、内容やストーリーから何かを伝えられるよう作品をしっかり作っていくことが大事になっていくと感じました」
中山「作品について、より考えていったんだ」
光一「そうですね。なので僕としては個人を褒められるより、作品を褒められたほうがうれしいです」
中山「長く続けていくことは、精神力だけじゃなく、肉体面も大変なのでは?」
光一「トレーニングはやってますね」
中山「どういうことをやっているんですか?」
光一「公演中は食が細くなって体重も落ちてしまうので。ひどいときは6キロとか。僕の体重で6キロってけっこう大きいんですよ。なので『SHOCK』が終わったら、体重を取り戻す作業から(笑)」
中山「ガリガリになっちゃうのか」
光一「肉体的にも限界ギリギリでやっているので、食べられなくなっちゃうんですよ。消化するのもエネルギーが必要なので、食べると疲れてしまう。それで、どうしても痩せちゃうので、終わってから体重を取り戻す作業をしてまた公演がある、というルーティンになってます。昨年は少し余裕があったので、いまはふだんより体が大きいですが(笑)」