東京国際フォーラムで幕を開けたブロードウェイ・ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』がスゴイ!
とにかく、セットも衣装も、出演者の歌唱力もダンスも音楽の生演奏も本場NYそのまま。日本にいながらこのクォリティを楽しめるのは、「日本人で良かった~」の一語に尽きる。
それほど、仕上がりがパーフェクトなのだ。
思えば2年前、NHK大河ドラマ『篤姫』の音楽を手掛けた吉俣良先生が、「こんなかたちのミュージカルもあるんだね」とその年10本見た新作のうち、ナンバーワンに推したのがこの『イン・ザ・ハイツ』だった。
吉俣氏はまさに“神眼”の持ち主で、『イン・ザ・ハイツ』はその年のトニー賞作品賞を受賞。吉俣氏は毎年作品賞を“予言”。今年も『メンフィス』を見事的中させている。
かく言う自分も、もう数100本演劇作品を見てきているが、この『イン・ザ・ハイツ』だけは何度も反芻して観たくなる数少ない作品のひとつなのだ。『ミス・サイゴン』はもう演ってないから、NYで“当たり”がないときは、この『イン・ザ・ハイツ』を観に行って、「ナイティ・シックス・サウザン♪」と陽気なラテン音楽を口ずさみながら帰ることにしている。
今回の来日キャストは、オリジナルのニーナ役を超えたと評判のアリエル・ジェイコブスをはじめ、実力キャストがズラリ。特に目を惹いたのは、主人公のウスナビ青年憧れの女性、ヴァネッサ役を演じるレクシー・ローソンだ。昨年の去年『レント』のミミ役で来日した彼女、背が高くて美人でダンスも歌もグレイト! リハーサルで何度も何度もダンサーとのリフトを練習する姿に、超感激。
都会で忘れられた人とのふれあい、街が家族になる、心温まる感動のストーリーに、あなたもきっととりこになるはず。
『ドリーム・ガールズ』に『イン・ザ・ハイツ』と、今年はツアー作品の当たり年。こうなると、12月の『アベニューQ』の来日も待ち遠しい。
その前に、『イン・ザ・ハイツ』の良さを是非体感して欲しい。
公演は9月5日まで。チケットはキョードー東京(03-3498-6666)まで。
【ストーリー】
マンハッタン北西部にあるワシントンハイツ。そこは中南米系移民が多く住む街。幼なじみのヴァネッサに恋する主人公ウスナビはデリを経営している。そんなある日、大学に進学していたニーナが突然ハイツに帰って来た。学費を払う為のアルバイトと学業が両立できず大学をドロップアウトしたというのだ。家業のタクシー会社を売って学費にあてると言い出す父、ケビン。騒ぎ出すハイツの住人。そんな折、ハイツで最も慕われているアブエラは購入した宝くじが当選していると告白。その額ナント$96,000!アブエラが考えた$96,000の使い道とは? ウスナビ達の恋の行方は?
【レポート:ヒュー佐藤】
【撮影:伊ヶ崎忍】