3月12日の午前7時――。地震発生から16時間後、仙台市若林区の荒浜地区に駆け付けた本誌取材チームが見たものは、一面に広がるがれきの山だった。ちゃぶ台、百科事典、鍋や食器……。前日まで人々の生活を支えていたはずのものが、すべてゴミと化していた。

屈強な消防隊員や自衛官たちは懸命の救出作業を続けていた。だが、がれきの山に阻まれてなかなか前に進めないようだ。

そんななか、取材を続けている本誌記者のほうへ1人の自衛官が歩いてきた。彼は小さな男の子を腕に抱えていた。男の子は泣き疲れたのだろうか、彼の腕のなかですやすやと寝息を立てている。男の子は3歳、母親は20代だった。

「車で逃げるところを津波にのまれてしまいました。1キロくらい流されましたが、幸運にも車が海に浮いてくれていたんです。救出までの一晩中、後部座席で泣きじゃくる息子を抱きしめ続けました」と語り我が子を見つめる母親。その眼には涙が浮かんでいた――。

本誌取材班が現地で見た被害の実態、そして感動の救出劇……。災害の今を総力特集!

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