劇団四季が東京都港区・浜松町の「自由劇場」でシェイクスピア作『ヴェニスの商人』を上演中だ(演出:浅利慶太)。
物語は、ヴェニスの貿易商・アントーニオーが親友の恋に協力するため、犬猿の仲であるユダヤ人の高利貸し・シャイロックに借金を申し込むところから始まる。シャイロックは高額な借金を受ける条件として、利子をとるかわりに返済が1日でも遅れたらアントーニオーの胸の肉1ポンドを切り取るという途方もない契約を要求し、アントーニオーはその条件をのむのだが……。
これまで各国で上演されたその多くは「悪質高利貸しシャイロックが裁判で敗北する勧善懲悪の喜劇」だったが、浅利演出では、シャイロックが劇中で唯一の“近代的な経済感覚をもったユダヤ人”であるが故に、差別と迫害を被る「受難者」であるという新たな視点から構築。ユダヤ人への憎しみとその悲劇に光を当てた、と、1977年の初演より高く評価されている。
なお、本公演でシャイロックを務めるのは劇団四季作品へ、36年ぶりの出演となる俳優・平幹二朗。
平は「久々に浅利さんとお仕事をさせていただきますが、日々の稽古は刺激的で、学校に入り直したような心地。浅利さんの描くユダヤ人・シャイロックは、狡猾な守銭奴ではなく、経済的感覚を持ち備え、自らを差別するキリスト教徒たちに勝負をかけていく、執念をもった男です。焦りと勝負に懸ける意気を取り入れた、私なりのシャイロックを演じたいと思います」
と意気込む。
公演は6月26日まで。
劇団四季 『ヴェニスの商人』公式サイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/venice/