6月27日、電力9社の株主総会が全国で開催された。国から1兆円の公的資金を受け、実質国有化される東京電力の総会は、東京・渋谷の国立代々木競技場第一体育館で行われた。会社提案の4議案はすべて承認。一方で筆頭株主の東京都が出した、「発送電資産を売却して損害賠償を」や、「柏崎刈羽に代替発電所を」といった株主提案はすべて否決された。

「発送電の分離は、送電設備、変電設備、配電設備などの資産売却で合計5兆円にはなります。柏崎刈羽原発の代替電源の提案といった新たなエネルギー政策に対しても、結局は『まだその段階ではない』との受け流し回答でした。検討しているのかどうかさえ怪しいものです」(経済ジャーナリスト・荻原博子さん)

会場からの質疑応答タイムになると、筆頭株主代表として猪瀬東京都副知事が質問に立った。そこでは東電社員しか利用できない東京・信濃町にある東電病院のムダを追及。売却すれば122億円になるとの試算が提出された。

「猪瀬さんの追及では、なんと勝俣前会長は、日本原子力発電の非常勤取締役として再任が決まっているとのこと。辞任すべきところをとんでもない人たちです。総会の終盤では、『(電力の)安定供給を確実に前進させていく』と下河辺和彦新会長が無難なスピーチをしました。それが、翌28日の柏崎刈羽原発再稼働の必要性を主張する会見です。まさに騙し討ちと言っていいでしょう!」(同)

今年は電力9社の総会が同日開催され、大飯原発再稼働が決定した関電に反対派が流れたため、結果的に反対派の主張のうねりが拡散されてしまったと荻原さんは語る。それでは、関電の株主総会の模様はどうだったのだろうか?

「関電の対応ぶりは最悪でした。『原発、何が悪い』というような言い方で、まるで事故前に戻ったかのよう。会場の前列は関電から大動員をかけられていたらしい、やらせ株主でいっぱいだった。男社会のデタラメな論理に、女性は子供を守り育てる性として立ち上がってほしい」(東電株主代表訴訟・弁護団団長・河合弘之氏)

関連カテゴリー:
関連タグ: