不慮の死をとげたサラリーマンが、”あの世”で『伝説のスープ』の話を耳にする。一人娘に思いを伝えるため、サラリーマンはスープの秘密を探っていく——。中年サラリーマンの奮闘を描いた映画『スープ〜生まれ変わりの物語〜』で、主人公・渋谷健一を生瀬勝久(51)が演じている。
物語は、飲めば来世で生まれ変われるが、前世の記憶はなくなってしまうという『伝説のスープ』をめぐって展開していく。娘のことを忘れずに生まれ変わりたいと願う渋谷の様子が、ユーモラスに描かれている。エキセントリックな役柄を演じることが多い生瀬だが、この映画では口下手で不器用な中年男を好演している。
「僕には、渋谷との共通点はあまりありません。自分の意見があるのに伝えない渋谷のような男は、じれったくて仕方がない。思っても、言葉にしないと伝わらないですからね。せっかく生まれてきたのに、もったいないと思います。僕は渋谷と違って、趣味も多いですから。野球を見に行ったりゴルフや旅行に行ったり、休みの日は忙しくします(笑)」
そんな生瀬だが、意外にも本作が映画での単独初主演だそうだ。
「なんともはや、自分はそういうことに、あまり興味がないんです。だから今回も、主演だということをプレッシャーに感じることもありません。後悔するのは、台本を読んで役柄をイメージして、そこに自分の演技が近づけなかったときだけなんですよ。ですから、今後も演じる仕事を末長く続けられたら、それだけでいいです」
主演の生瀬のほか、本作品は小西真奈美、松方弘樹といった豪華キャスト陣が周囲を固めている。
「松方さんとは初共演で、初日に”キスシーン”を撮影したんです(笑)。この映画は、リアリティのあるファンタジーだと思うんです。映画を見て『自分が悩んでいることは、そんなに大きなことではない』って思っていただければうれしいです」