「出会いを大切にしたい。少しでも勇気づけられるように頑張ります」と、五輪直前に語った、サッカー男子日本代表の主将・吉田麻也選手(23)。

優勝候補のスペインをいきなり撃破し、快進撃を続けてきた日本代表。予選1位突破を決め、準々決勝のエジプト戦にも、みごと勝利した。チームを鼓舞してきたのは、オーバーエイジ枠で選ばれた主将の吉田選手だ。そんな彼の語った”出会い”という言葉。そこには、ある”難病の少年”との交流があった——。

社団法人『Hope&Wish難病の子どもとその家族へ夢を』は、全国の難病の子供が家族旅行できるように支援する(非営利)慈善団体。吉田は、この団体への協力を続けてきたという。代表理事の大住力さんは語る。

「吉田選手から『社会貢献をしたい』と昨年10月にお話をいただきました。そこでクリスマスに初めてお会いし、東京の国立がん研究センターの小児病棟を慰問しました。このとき大阪在住の難病の少年・南一誠くん(11)と家族も上京し、吉田くんと対面するはずでした。しかし一誠くんは移動が負担になり、途中で発作を起こし病院に搬送されてしまったんです」

小学6年生の一誠くんは、先天性の完全大血管転位症という難病を抱えていた。2人の対面は叶わなかったが、吉田は兄・雄大くん(13)にサッカーボールやサインTシャツを手渡し、一誠くんへのプレゼントを託した。吉田と少年の交流はその後も続く。6月には、同団体に印税で購入した10人乗りの国産ワゴン車を寄付。この車は、一誠くんのように難病患者の家族が旅行する際の”移動リムジン”として活躍するよう届けられた。

「五輪直前の7月には、吉田くんが大阪に出向いて一誠くんに面会する予定がありました。しかし『合宿中の東京を離れてはいけない』と言われたそうで、2度目の出会いのチャンスも叶いませんでした。代わりに、吉田くんは『南ファミリーの皆さんへ。今年の年末には、必ず会いましょう』という”約束のサイン”を送ったのです」(大住さん)

一誠くんは、この8月に手術を受ける予定だという。『吉田選手と絶対に会うんだ』と年末の”約束の日”を楽しみにしながら手術台へと向かう。

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