「テレビで写っていた美代子さんの写真は40代のころ。今はあんなもんじゃないですよ。64歳なのに、身長は170センチくらいで外国人風の筋肉太りしたような巨体。顔や手は男よりも大きい。前歯がなくて、ブルドッグのようにたるんだ顔。目つきは鋭く、恫喝されたら大抵の人は動けなくなるほどの迫力で、怪物のようでした」(近所の住人)

兵庫県尼崎市で起きた連続暴行死事件の全容が次々と明らかになってきている。だが、中心人物とされる角田美代子被告(64)についてはいまだ報じられない部分が多く、多くの謎が残されている。そのひとつが彼女の原点だ。近所の住民に怪物と言わしめた角田被告。誰もが恐怖する強力な支配力。それは彼女の幼少期の環境により培われていた――。

彼女の実家は尼崎市内にあったというが、今は残っていないという。そこから少し離れた場所に美代子被告の祖母が暮らした自宅があった。現在は廃墟と化していたが、近所の住民は一家について「祖母も両親もすでに亡くなっています。祖母は家族も手に負えないような身勝手さで、ここにひとりで暮らしていました」と明かしてくれた。また、別の住民は彼女の幼少期をこう回想する。「彼女の父親は父親が凄腕の“手配師”だったから。肉体労働者を集めて建設現場に派遣する“親方”のような人でした」

古くから住む老人男性は、父親の仕事をこう語る。「当時の尼崎には、全国から体力自慢で素性のよくわからない荒れくれ者が集まっていた。そんな連中を自宅に住まわせ、手なづけるのが美代子被告の父親のような親方の役目です。普段から睨みをきかせ、圧倒的圧力で彼らを抑えこむ。もちろんいざとなったら恫喝や腕力も必要。恐怖心を労働者に植え付け、『あの人には敵わない』と思わせないと務まらなかった」

さらに、アメとムチの使い分けが求められた。「冷酷さも必要です。労働者が汗水流して稼いだ日給は当時3500円ほどでしたが、そこから食事代や酒代といろんな名目で4割程度をピンハネするんですから。しかしいっぽうでは食事を与え、ときには酒も飲ませて慰労する。『人夫は生かさず殺さずで働かせるだけ働かせろ』というさじ加減が必要です。今の美代子被告がしていたことはまさに父親と同じ。彼女は幼いころから父親の姿を見てきました。そうして人心支配の英才教育を受けてきたのでしょう」(前出・古くから住む老人男性)

次第に、彼女は恫喝で金を巻き上げるようになっていき、そして死者を出すまでにエスカレートしていった。その際に用いられたのが、父親から仕込まれた“人心掌握術”だった。「美代子被告の指示する暴力はとにかく徹底しています。ある被害者は『家族のひとりは、逆らったからバーナーで腕を焼かれた』と証言しています。さらに恫喝により精神的に追い詰めていくのです。いっぽう、彼女は“身内”にはとにかく優しい。現在26歳になる息子のことは小さいころから溺愛していて『将来はアイドルにする。タレント養成所に通わせとる』と嬉しそうに言っていました。だからみんな、恐怖から逃れたいがために彼女の“身内”になろうとする。そうして洗脳されていくのでしょう」(社会部記者)

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