この年の瀬に相次いで届いた訃報は我々の心に大きな穴を開けていった。振り返れば、2012年も多くの偉人たちが、たくさんの愛を残してこの世を去った。そんな故人に送る敬慕のラスト・メッセージが、編集部に寄せられた。

女優・吉永小百合(67)は、11月10日、心不全により逝去した女優・森光子さん(享年92)への想いをこう綴る。

《森さんと初めてご一緒したのは『おふくろの味』というホームドラマでした。素晴らしい出演者の方々に恵まれたのですが、そのころの私は忙しくて皆さんとお話しする時間もなく、ただただ仕事ばかりの毎日で……。ひとり浮いてしまっていた25歳の私を、森さんがいつも気にかけ、優しく声をかけてくださったことが忘れられません。

’87年には『映画女優』という映画でご一緒しました。私が田中絹代、森さんがそのお母さん役。大阪弁で丁々発止とやり合う母娘だったので、思いっきり森さんの胸にぶつかっていきました。とびっきり面白い撮影現場で、森さんとのステキな思い出ばかりが残っています。

森さんとお話しをしていると、私は感銘を受けるばかりでした。本当に素晴らしい方。夜中の1時すぎにFAXが鳴ると、それは決まって森さんからのお便りでした。美しい文字で綴られたお心のこもった文面を、いつも嬉しく読ませていただいておりました。京都で撮影をご一緒したときは、おいしい和食屋さんでお食事をし、お酒もちょこっといただいて……。

誰に対しても本当にお優しかった森さんは、私のあこがれの的でした。それは今も変わりません。森さんの「諦めないでやり続ける精神」を、これからは私が受け継いでゆきます。》

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