《松重豊くんへ。上京して下北沢で同じ中華料理店でバイトに入った日が一緒で、10代の僕らが仲良くなるのに時間は必要ありませんでした。僕はバンド、豊は芝居の道を歩き始めたばっかりでした。そこからお互いの夢を語り合ってた日がずっとあったね。お互い夢をこれからも続けていこう!》

 
手紙をこう読み上げたのはザ・クロマニヨンズのボーカル、甲本ヒロト(49)。5日の『土曜スタジオパーク』(NHK)にゲスト出演した松重、甲本とは30年来の親友だという。

「今思えば、ユタカやヒロトを排出した当時の『みん亭』は、藤子不二雄さんや赤塚不二夫さんを生んだトキワ荘のような存在だったかな」と語るのは、『みん亭』オーナー夫妻の長女・二瓶真弓さん(48)だ。

  松重は82年に明治大学文学部演劇学科に入学。ほどなく、下宿近くの中華料理店『珉亭』でアルバイトを始めた。松重はブログでこの店への思い入れを熱く綴っていた。

《実を言うと、僕の体の80%は中華料理でできてる。大学入ってすぐ下北沢の『珉亭』というラーメン屋で働いていたのよ。おかげでねぇ、僕は餃子を巻くのが得意です》(07年11月2日)

昨年、『孤独のグルメ』(テレビ東京系)で初主演を掴んだ松重。遅咲きの彼は、今でも当時の縁を大切にしているという。

「92年に亡くなった創業者の父は町内会や商店会の世話役をしていて、1千人もの弔問客が来てくれました。中にはユタカやヒロトの姿もありました」(真弓さん)

  真弓さんは現在、『みん亭』宇都宮店を夫・二瓶智彦さん(54)と切り盛りしている。実は宇都宮店にも松重は訪れてきてくれたと微笑む。

「一昨年の11月も『仕事があったから』とふらりと1人で食べに来ました。帰り際、『珉亭の仲間たちと同窓会をしたいね』と僕の両腕を握ってきたんです」(智彦さん)

夫妻には松重から毎年、年賀状が届くそうだ。松重が醸しだす哀愁の背中には、餃子と仲間への”愛”が詰まっていた!

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