「俺は外出の際、暖房類のスイッチを切るし、コンセントまで抜いています。まだ『出火の原因は不明』だと警察や消防署は言うけれど、自分としては“放火”じゃないかと思ってね…」
こう当惑の面持ちで語る宍戸錠(79)。宍戸は廃墟となった家の中を記者とともに歩きながら、かつての様子を説明してくれた。
「ここは娘の部屋、ここが応接間、あそこは風呂場…。不審者の存在を感じていたから、俺は最近、台所に寝泊まりしていました。ほら、そこにベッドのスプリングが残っているでしょ。枕元に木刀と懐中電灯を置いて寝ていました。不審者が入ってきたら、戦わないといけないからね!」
孫ほど年の離れた記者にも、丁寧に話し、笑顔で気遣いをしてくれる。災難直後にもかかわらず、ユーモアを交えるたくましさは、さすが“エースのジョー”だった。
「家が焼けたくらいで泣いたり、ビクビクしているヤツは男じゃないね。俺はそういう感じだから平気、平気。かえって(土地を)売りやすくなった(笑)。俺は健在、こんなことに負けるか!」