山本譲二(63)の実母・ハルヱさん(88)が認知症を患い、12年1月から郷里・山口県下関市にある介護施設に入所していたことが、山本本人への取材で明らかになった。
‘09年には右耳の耳小骨に腫瘍が見つかり右耳が聞こえなくなった山本。’10年には妻・悦子さん(58)が乳がん闘病していたことも、『女性自身』’11年11月19日・12月6日合併号で告白している。そんな苦難続きだった彼は、母の異変についてこう語る。「気づいたのは3年前。親戚から『実家に帰ったらお袋さんの様子をよく見てみな。何遍も同じこと聞くから』と電話があったんです。帰るとお袋は『(譲二の)2人の娘は元気?』と聞いてきました。近況を報告すると『よかった』と安心するのですが、また『娘は何やってるの?』と聞くんです。ほんの数秒前のことを、お袋は覚えていませんでした」
山本の父・武さん(享年74)は、’99年4月に肺気腫で亡くなっている。以来、ハルヱさんは10年以上、下関の実家でひとり暮らしを続けてきた。2カ月に一度、山本が帰郷するたびに、実母の症状は顕著になっていたという。「ガスコンロの消し忘れも非常に多くなっていました。親戚が行ったときにも同じことがあったそうで、『そろそろ施設に入れることを考えなきゃいかんぞ。火事になって近所に迷惑かけたら大変やからね』と言われました」
それでも山本は『母にどうやって施設入所を勧めようか』と悩み続けたという。「父が亡くなってから『一緒に東京に行こう』と何度も誘いました。でもお袋は『お父さんのお墓を誰が守るの? それに、この歳で東京行くのイヤ。下関がいい』と言うんです。自宅に介護福祉士さんを入れようと考えたこともありました。でもお袋は『この家に知らない人を入れたくない』と頑固に突っ張るんです。お袋は家が大好きでしたからね」
そんなとき、母が通うデイサービスの部屋が1室空いたと連絡が入った。山本はついに決断した。「『お袋な、ガスの消し忘れとかお風呂を沸かしたまま寝たりとか多いみたいよ。もし火出して近所に迷惑かけたら大変やからね。お袋、デイサービスに行ってるでしょ?ひとつ部屋が空いたんよ。入るチャンス、今しかないんよ。イヤだったらすぐ出てもいいから。みんなで体験してみようよ』と伝えました。お袋は大粒の涙を流していました……」
母のことが大好きだった山本にとって、施設への入所は苦渋の決断だった。「気丈で悪いこと一つもしなかったお袋が、なぜこうなるのかなと思いました。元気ならば施設に入れたくはないですよ。でも、東京で離れて暮らす私にはそれしかなかった。お袋は『じゃあ、この家はどうするの?』と言うんです。だから『この家は母さんのお家やから。施設がイヤだったら帰ってくればいい。俺も戻ってくるし』と言うと、お袋も納得してくれました」
母は今、施設で友達もでき楽しそうに暮らしているという。「施設に入ってから、お袋は明るくなりました。『私はここが大好き。もう家には帰らんよ。食事もおいしいし、おやつも出るしね!』とも言っています(笑)。仲の良いおばあちゃんと2人で話しているのを聞くと、トンチンカンな会話が可愛いんですよね。僕が行くと、お袋『譲二!帰って来たの~』と抱きついて来ます。私のことをちゃんとわかっていますし、症状は進行していないような気がします。いろいろありましたが、今は本当に安心しています」