「頭の中で”ブチッ”って音がしたんです。その瞬間、左半身が痺れだしました。真っすぐ立つことができず、床が斜めに見えました。『いま頭の中で血があふれ出てるんだろうな。きっとこのまま昏睡状態に入っていくんだろうな』と……」

そう語るのは、漫才コンビ『宮川大助・花子』の大助さん(62)。‘07年2月、テレビ番組の企画で行っていたダンスの稽古後、水を飲んでいる最中に突然、大助さんは脳出血を起こした。

「頭の線が切れて、体もビリビリ痺れていたので、もう死ぬなと思いました。だから、しゃべれるときに遺言を残しておこうと思い、稽古場にいた娘に『お母さんとさゆみに会えて本当に楽しかった。我が人生に一切悔いはない。ありがとう』って、はっきり伝えました。嫁はんと娘は気が動転してたけど、なぜか僕は冷静でした。きっと腹をくくっていたのでしょう」

病院に直行、すでに夜間診療だったが、偶然にも脳神経外科の専門医がいたことが不幸中の幸いだった。医師が適切な処置をほどこし、集中治療室へと運ばれた。当日の緊迫した状況を、相方であり妻である花子さん(57)が振り返る。

「病院で血圧を測ったら200以上。お医者さんから『今晩がヤマです』と言われてパニックになり……。夫が集中治療室に入った後は、娘のさゆみと車でいったん帰宅しました。でも気が動転してて、何度も道を間違えたりして。娘には『トランクに喪服入れとこ』と話しました。もう家に戻ることはないかも、そんな最悪のことを考えたりしながら」

早期に適切な処置が行われた結果、大助さんは一命を取り留め、深刻な後遺症も残らなかった。脳出血の原因は高血圧。その最大の要因は極度の塩分過多だった。「倒れる以前は何にでも醤油をかけて食べていました。辛子明太子にも醤油をかけてたんです」という大介さん。現在は花子さんのサポートの元、減塩に気を使い、携帯用の血圧計をカバンに入れている。

「血圧が正常だと思っている人でも、たまにはチェックしたほうがいいですよ。できれば一家に1台血圧計を。僕の場合、血圧に対しての知識がなかった。いまの時代、知らないことは罪です。それから、『女房の小言は家庭の最良の薬』だと思うことですね。いちばん近くで見ている人ですから。『耳に苦し、体に癒し』です」(大助さん)

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