ギャグ漫画家の東村アキコさん(37)が「宮崎出身の田舎少女を、アーバンな気分にさせてくれた」という憧れの女性、作家の林真理子さん(59)と、念願かなって初対談にのぞんだ。テンパリ気味の東村さん、林真理子さんの近著『野心のすすめ』(講談社現代新書)のお話からスタート。
東村「高望みが成功の秘訣だったり、女の人がずっとできる仕事を持つことが幸せだと書いてあるご著書を読んで、感銘を受けました。昨日は緊張して眠れなくて。林さんにお会いすることになって、今日も出がけに母に『アキコ、ついにここまでのぼりつめたね!』と言われたくらいです」
林「そんなことないですよ。最近の若いコは本を読まないから、昨日なんかも中学生450人の前で『私を知っている人、いるかな?』って聞いたら、皆無!(笑)」
東村「私は中学生くらいから林さんのエッセイを読んでいたんです。片田舎の少女にとっては、トレンディドラマの舞台の東京や、ときにはニューヨークにまで行った気分になりました」
林「宮崎県出身ですよね。東国原前知事も言っていたけど、美人が多くて有名な県」
東村「本当に宮崎のカフェやブティックで働いている若い女のコが、すごくキレイだったり。東京でアイドルになればいいじゃん!って女子高生もたくさん見かけますねー」
林「私も田舎育ちだけど、田舎でそういう人たちを見ると、自分の人生を使いきっていないって思う。私にあなたの顔を貸してくれれば、もっとうまく使ってあげるのにって(笑)。大学出て頭もいいのに地元で早めに結婚したり。そういう生き方もいいけれど、自分の可能性を狭めているような気がしてもったいなく感じます」
東村「私も金沢の美大を卒業したんですけど、就職氷河期で働き口がなくて、宮崎に帰って父のコネでOLをしてたんです。漫画がなければ、そのまま宮崎にいたかも」
林「でも、妄想力が豊かですよね。地味な陸上選手が好きで追っかけをやっていたとか?」
東村「はい、本気で。なんか俳優さんとかだと絶対結婚できないけど、陸上選手ならもしかしてと(笑)。女子高生時代にバカな妄想をしていました」
林「妄想力がある人って成功するみたい。聖子ちゃんも九州で郷ひろみと結婚してニューオータニで披露宴を挙げることを妄想していたというし、私自身も直木賞をとって売れっ子になることを妄想していました。妄想力は大事です」
東村「そのくらい思いが強いと、行動できますよね。妄想力が原動力になるのはわかります。私も東京に来たらトヨエツに会えるんじゃないかって本気で考えました。東京に住む自分を妄想していると、宮崎を出たくなって」
林「私も野心に燃えていた。『野心のすすめ』で表紙に使った写真なんですけど、私はこの顔がすごい好きで。田舎から出て『よっしゃ、やったるぜ!』って思った顔。このあとからストレスでぶくぶく太るんですけどね」