歌舞伎座のリニューアル、相次ぐ役者の世代交代……新時代を迎えた歌舞伎界で、今注目されているのが名優を父に持つ子供たちだ。本誌は’00年生まれの13歳、父は片岡孝太郎、祖父が片岡仁左衛門という片岡千之助クンの素顔を追いかけた。
「お芝居を見た学校の友達に“あれ、ホントにお前か?”とか言われるんですよ。まぁ、学校での僕はただのバカですから(笑)。舞台だとスイッチが入るというか、自分でも違うなとは思います。舞台に立ったら緊張もなにもないです。もうやるしかないですから。そこまでがね、緊張するんですよ。お稽古していても“これで大丈夫かな?”“これで舞台に立っていいのかな?”とか不安になって」
ふだんの彼は、あどけなさの残る普通の中学生に見える。友達と遊んだときはマクドナルドに立ち寄って、定番のてりやきマックバーガーにチキンクリスプをペロリ。この日もペロリでニッコリ!
その彼が舞台に上がり役をまとうと、キラキラと輝き目が離せなくなるから驚く。目下、祖父・片岡仁左衛門と坂東玉三郎の仲を取り持つ太鼓持ち役で『「廓文章」吉田屋』に出演中。学校と舞台の二重生活、このハードな毎日の行く先は?
「学校の勉強も頑張らなきゃだし、ハンドボール部の練習も楽しいけど大変で。友達とも遊びたいし、まだまだいろんなことに挑戦したいんです。でも最後には、それが全部お芝居につながって、いつか、おじいちゃんや中村勘三郎さんのように、出てきた瞬間に舞台をパッと明るくさせる、魅力的な役者になりたい。その気持ちは強いし、確かです」