いま大人気のNHK朝ドラ『あまちゃん』。宮藤官九郎の脚本は、’80年代を中心とした過去の流行や笑えるやり取りなど話題に事欠かない。小ネタ満載のシーンを、アイドル評論家の中森明夫に深読みチェックしてもらった。
まずはオープニングソングのタイトルバックで、アキ(能年玲奈)がジャンプしている冒頭のシーン。その姿が「じぇ’jj’」の「J」の形にになっていると中森。「いまや、日本中の老若男女が口にする“じぇ”が、あそこから始まっていたのか!と気づいたときは、僕も驚きました。じゃなきゃ、あの形はさせていない。クドカンは絶対、初めから考えていたはず!」
春子(小泉今日子)の夫・正宗(尾美としのり)がタクシードライバーだと知ったとき、クドカンファンならすぐ10年前にタイムスリップしたはず。あの“赤羽さん×イボリ―”コンビが復活!と。クドカン脚本の『マンハッタン・ラブストーリー』(’03年・TBS系)で、小泉と尾美は同じ会社のタクシードライバーだった。
「当時、視聴率では裏番組の『白い巨塔』に完敗。いちばん数字の悪かった自作ドラマを引用するとは、さすがクドカンだね。イボリ―が赤羽さんに片思いしていたので、今回一度は恋が成就したってわけか!?」(中森)
アキは種市先輩からミサンガをプレゼントされて有頂天。でもこのミサンガは、のちに種市先輩をめぐるアキとユイ(橋本愛)の三角関係へとつながる不幸のアイテムだった……。
「ミサンガは、橋本愛が出演した映画『桐島、部活やめるってよ』(”12年公開)で失恋のシンボル。主人公の男子生徒(神木隆之介)は、橋本愛扮する女子生徒に思いを寄せている。でも、彼女がボーイフレンドと同じミサンガをつけていることを知り、失恋。おそらくクドカンは、この映画をヒントにミサンガを使ったんですよ」
さらに興味深いのは……と中森は続ける。「橋本愛が私生活で熱愛報道されたお相手が『桐島〜』で恋人を演じていた落合モトキ。その彼が観光協会会長の菅原(吹越満)の昔を演じていた。クドカンがそこまで読んでいたのかはわからないけど、すごい連鎖ですね」