「『まさか自分が……』とは思いもよらず、昼間はベルリン観光をしていました。名前を呼ばれて、パニックで跳び上がりそうになりました」と語ったのは、ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞の『銀熊賞』に輝いた黒木華(23)だ。

同賞はこれまで左幸子、田中絹代、寺島しのぶの3人しか選ばれておらず、23歳での受賞は日本人最年少。「驚いた」と振り返った黒木だが、むしろ彼女が世間中をあっと言わせる結果となった。

 母に連れられ舞台や映画を見ているうちに、女優の夢が芽生えた黒木。高校は演劇部が名門として知られる追手門学院高校を選んだ。自宅から離れているため、彼女はバスを使って通学。演劇部の顧問でクラスの担任でもあった阪本龍夫さんは、当時をこう振り返る。

「最初に見たときの印象は『目立たない、もの静かな子だな』という印象でした。でも、演劇部に入部して基礎練習を見たときにびっくりしました。一言で言えば演技力や表現力があったということですが、『他の部員とは違う』と感じたんです。実際、彼女は1年生のころから卒業するまで、ずっと主演を務めていました」

 演劇の大会では全国優勝したこともあるほどの名門だけあって、部活の厳しさも並大抵ではなかったという。だが、そんななかで黒木は猛練習を続け、頭角を表していった。

「うちの部は年に4本の演劇を作り、8回公演を行います。そのため授業が終わると、下校時間ギリギリまでみっちり2時間練習があり、土日も練習漬けで休みがないんです。でも彼女は一度も休んだことがなかったし、演技についての考え方を聞いても即答していました。極端なことを言えば、24時間、芝居のことを考えているようなコでした」

 当時の同級生は彼女についてこう語る。

「前に出て目立つキャラではないけど、明るくて気さく。みんなから『ハル』と呼ばれて、メークはギャルではなくナチュラルな感じでした。当時から演劇部のエースとして有名で、夢について良く話していましたね。『私は女優になりたい!』と言っていましたが、まさかこんな早く結果を出すなんて……」

デビューから4年で世界的女優になった黒木。今後も世間を騒がせてくれそうだ。

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