隔週連載“中山秀征の語り合いたい人”。今回は『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』等、個性的な衝撃作を世に送り続ける映画監督、園子温氏(52)。’93年、秀ちゃんが司会をしていた『もっと過激にパラダイス』(NHK・BS)に園監督が出演して以来、20年ぶりの再会となった。

園「僕は最初の作品が『自殺サークル』で“俺、別に嫌われてもいいもんね”という立ち位置からスタートしたので、“園さんだから裸も血もOKです!”という人からしか依頼がこない。ホームレスから返り咲くんだったら、徹底的に嫌われてもいいくらいの度胸で腹をくくってやろうって思っちゃったから、振りきっちゃたんですよね」

中山「ほかの監督からしたら、“本当は俺もそれをやりたいけど、やれないんだよ”って悩んでる人も多いと思いますよ」

園「入り口は大事ですよ。最初に啖呵(たんか)切ることって大事なんです。“いや、わかってますよ。園さんだからR18+でもいいですよ”とプロデューサーも映画会社も用意はできているので、僕はハナから闘う必要がないんです。ただ“いや、今回はヒューマンドラマやりたいんだけど”と言うと、“それは違うでしょ”って拒否されますし、“え、今回は裸もないんですか?うーん、どうかなぁ……”って逆にゴネられる(笑)」

中山「監督の作品は生々しかったり、おどろおどろしかったりっていうイメージだから、逆のことが難しくなるジレンマですね(笑)」

園「今はだいぶ自由にやらせてもらえるようになりましたけどね。もともと僕『ベイブ』がいちばん好きな映画なんですよ」

中山「ハートフルですね……。ベイブやほかの動物が血だらけとかにはなんない?」

園「なんない、なんない(笑)。僕、本当に動物好きなんですって。ハードなものが続いて疲れると、たまにハートフルな映画もやりたくなりますよ。今年は前半がハートフルに。でもそれじゃあ腑抜けとか言われるだろうから、後半はファンキーにいこうかなとは思ってますけどね」

中山「振り幅ありますねー。映画監督としての最終目標ってあるんですか?」

園「でも、秀さんに約束すると、また20年後になっちゃいますよ。70歳になって『やっとできました……』って報告する羽目になる(笑)」

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