本誌隔週連載《中山秀征の語り合いたい人》。今回は松本明子さん(48)の登場。故郷から夢を抱いて上京した同世代の2人が同じ事務所に入り、芸能界で支え合い続けた30年。その夢の舞台で苦楽をともにしてきたときを、あらためて振り返った。
中山秀征 松本さんは男女の友情ってどう思ってる?僕は後にも先にも、こんな特殊な友人関係は、松本さんだけだと思ってるんだけど。
松本明子 私は誰にも言えない大事な相談をする相手は、決まって秀さんなんですよ。家族にも親にも、マネージャーにも会社にも言えない、何かにぶち当たったときには秀さんに頼ります。アドバイスをくれたり、ときには叱ってくれたり、ときには励ましてくれたり。だからといって、何カ月も会わないこともある。お互い恋愛感情はないですし、男女という概念を超越しているんですよね。こういう関係って、ほかに聞いたことないですね。知らないのは内臓くらいですよ。あとは大体知ってますから(笑)。
中山 姉弟でもないですし、前世で何か縁があったんでしょうね(笑)。一緒に何かをやっていたのかも。
松本 もし間違って、私と秀さんが結婚していたら、2人ともダメになってた気がするんですよ。2人でずっと酒飲んで、ずっとしゃべって、楽しさや面白さを追求しちゃう。似すぎているんです。私たちはお互い見事にまったく違うタイプの人と結婚しましたよね。ウチの旦那なんて、私とは水と油ほど違うタイプですよ。
中山 男女は分かり合いすぎると、かけがえのない友人になるのかもしれませんね。
松本 男女の友情のルールは、裏切らないことや相手に誠実でいることだと思うんですね。いつも本気で心配したり、意見を言ったり、そのうえで尊敬心を抱くことも大切なのかな……。
中山 足をすくってやろうとか、だましちゃおうとか、この人と付き合っていたらオイシイとか、そういう下心がないんですよね。どんなときもね。この世界で働いてきて、よくないときもお互い知ってるから、僕たちは同士なんですよ。
松本 本当にこういう存在がいるっていうことは財産ですし、あらためて幸せだなぁと思います。