「痛快な毒舌」で各局バラエティに引っ張りだこの坂上忍(46)。いっぽう、140人の子供が所属する子役スクールで、直接指導もこなしている。そこから見えてきたものとは――。
「ボクが子役時代、すごく怖い監督がいたんです。きつい批判もされて落ち込むこともあったけど、『ああ、この人は見ていてくれるんだ』っていう安心感につながるんです。自分なりに『ここをちょっと工夫してみよう』って演技しても、何も気づいてくれないと、怒られるより寂しいですから。だからスクールでは子供に対しても、一役者として向き合って真剣に怒る。“ちゃんと見続ける”ことが、大人の責任ですから」
どんなにテレビの仕事が忙しくても、子役スクールのレッスンには必ず参加するし、坂上自信が脚本、演出を手がけて子供たちの舞台を用意する。全員に少しずつ役を与えるようなことはしない。そういった厳しさも、子供たちには知ってほしいという。
「よく子供たちには『オーディションには、10回行ったら9回は落ちるよ』と言っているんです。9回傷ついて、やっと1回、ささやかな喜びのために頑張れるなら頑張りなと。子役に限らず、子供のうちにたくさん傷ついたほうがいいと思うんです」
子供たちの親と接してみても、子供が傷ついたり落ち込む姿を見たくないという親が多いという。
「親は子供を守ることは絶対にしなきゃいけないんだけど、子供って親が思うより弱くない。ちゃんと不自由も与えたいと思うんです。生きていくのは、不自由と理不尽の繰り返し。その子が耐えられる範囲で理不尽をちゃんと与えることも、大人になるためには必要なことだと思うんです」
逆に子供をほめてばかりでいると、大人に媚びる子供になってしまう。大人ばかりでなく、子供も空気を読むことに敏感になるのだ。
「大人に取り入ろうと、営業スマイルであいさつをしてくる子役がいるんですけど、『無愛想でもいいから、自分から素朴にあいさつしておきゃあ、気持ち悪い営業スマイルより好かれるぞ』って、悪知恵を入れています。子供って大人に媚びる必要はない、大人に迷惑をかけてなんぼという生き物だと思うんです」
親の仕事は、子供を幅のあるところで自由に遊ばせて、“はみ出たところ”だけ戻せばいいのだという坂上。熱愛が発覚して、結婚にも注目が集まるが、自分の子供はどう育てたいと思っているのだろうか。
「いやぁ、つくる予定はないですけどね。男だったら……、いやぁ、めんどくせぇな〜(笑)」