「僕もね、離婚しているんですよ。自慢できるような話じゃないですけど(笑)」
そう豪快に笑うのは、俳優の吉田鋼太郎(55)。
NHK連続テレビ小説『花子とアン』で、仲間由紀恵(34)が演じる葉山蓮子の夫・嘉納伝助役を演じるほか、『MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~』(TBS系)の狂気漂う悪役・中神甚を怪演、『半沢直樹』(TBS系)では半沢の上司役で話題を呼んだ。
伝助のモデルは、大正時代に実在した九州の炭鉱王・伊藤伝右衛門。華族であり歌人として知られる柳原白蓮を後妻にもらうが、妾を囲うなど女性関係が激しかった。後に、白蓮は別の男性と駆け落ちし、新聞紙上で伝右衛門に絶縁状を叩き付ける。これが当時、「白蓮事件」としてセンセーションを巻き起こした。実在の人物である伝助のキャラクターをどのように作り上げたのかと質問すると、
「ねぇ! へっへっへ(笑)」
と照れ笑いし、冒頭の離婚の話を始めた。
「伝助さんに起きたようなことが自分の人生でもあったので、伝助の気持ちがなんとなくわかるというか……。言っていいのかな、こんなこと(笑)」
さらに、白蓮が叩き付けた絶縁状のことに触れると、
「じつは、前の奥さんとの間に息子がいて、彼が2歳半くらいのときにすごくかわいい時期があったんですよ。片言でしゃべり始め、歩いてイタズラとかやり始めて。でもある日、家に帰ったら誰もいないんですよ。彼のおもちゃとか小さいタンスとかも全部ない。とっさに『逃げたんだな!』って感じました。そのときはショックでしたね」
――復縁を迫ったりはしなかったんですか?
「もちろん、そうしたかった! でも、どこにいるかもわからなかった。本当に逃げたんですよ(笑)。だから伝助さんの絶縁状っていうのは、そのときの自分と、なんとなくですがつながりますよね」
慌てるマネージャーを横目に、意にも介さず可笑しそうに話す吉田の姿は豪傑そのもの。最近とんと出会えなくなった、人生のすべてを演技に活かす“型破り役者”からは、今後も一瞬たりとも目が離せそうにない!