「去年、パリでフランス人の妻(30)と同性婚しました。『結婚』したことで社会的信用度が増すのか、共同名義の銀行口座を作るにも、入国審査を受けるにも、手続きが早い、早い」
そう語るのは、’10年の『ミス日本』ファイナリストで、現在パリ在住の日本初のレズビアンタレント・牧村朝子さん(27)。彼女は、フランス人妻との結婚で素敵な自由を勝ち取った。
「妻とは日本で出会ったんですが、同性婚の制度がないため、’12年6月、PACS制度を利用しようとフランスに移住したんです」
PACSというのは、成人した同性同士、または異性同士の共同生活を送るための契約制度。法的な婚姻をした場合と同等の権利があり、しかも手続きが簡単なのだ。
「PACSは、『お手軽結婚』『準結婚制度』という印象。でも、片方が『やめます』といったら簡単に破棄できる契約だし、養子を育てるにも、親権が与えられるのはどちらか一人に限られるなど、婚姻制度との違いもあります」
牧村さんは昨年、フランスで同性婚が法的に認められたと同時に、婚姻の手続きをした。そんな彼女だが、日本では生きにくさを感じていた。
「初恋は10歳のとき。同じクラスの女の子。私一人が舞い上がって、
周囲との距離ができて……。あるとき弟とケンカしているとき『このレズ!』って言われたんです。きっと私の知らないところで『お前のねえちゃん、レズなんだろ』と、いじめられたからなのかもしれません。それ以降、隠すようになりました」
男性と付き合えばレズビアンが直るんじゃないかと、自分を責めるようなことも考えていたが、’11年、日本でフランス人の現在の妻と出会って人生が変わる。
「当時、シェアハウスに住んでいたんですが、私たちカップルのことはみんなが認めてくれていたんですね」
そんな安心感があり、あるトーク番組で、ついカミングアウト。
「勝手なまねをして所属事務所に怒られると思ったら、先輩の杉本彩さんが『芸能活動は社会に伝えるメッセージがないとやる意味がない。思春期のつらい思いを伝えて、理解を得るのがあなたの役割』と応援してくれたんです」
その後押しもあり、現在、レズビアンの立場で積極的に発信している。妻は漫画雑誌の編集をしていて、日本の漫画をフランスに紹介する仕事だという。
「6月に、パリで妻と共同名義の住宅ローンの審査が通って、新居に引っ越しました。日本でも同性婚が認められ、私たちのように普通の結婚生活が送れるようになることを願っています」