「蓮子をいじめる役ということで、私は潔く日本中から嫌われようと覚悟したんです(笑)」
そう振り返るのは、『花子とアン』で嘉納家の女中頭・山元タミ役を演じた筒井真理子さんだ。
「意地悪な人の癖を調べたり、心理学の先生に話を聞いたり。現場では、蓮子役の仲間(由紀恵)さんと距離を取ろうと思ったのですが、ニコニコ穏やかなオーラに吸い寄せられ、その作戦は初日から変更を余儀なくされちゃいました(笑)」
撮影の合間は、仲間、伝助役の吉田鋼太郎と芝居談義に花を咲かせた。
「以前に舞台でもご一緒したことのある吉田さんから、『小劇場時代はアイドルだったのに、真理子も今やベテランだね』と、言われてしまいました。気持ちはいつも新人なんですけどね(笑)」
タミのいちばんの見せ場と言えば、やはり蓮子との「ビンタ」シーンだろう。仲間に、「カツラではないので思いっきり来てください」と言われ、筒井さんも、「私も体も皮膚も丈夫なので全力で来てください」と答えたという。筒井さんにはさらに秘策があった。
「格闘家の方に、『上から振りかぶると強くは見えない。いきなり攻撃を加えると強く見える』と教えてもらいました」
入念な準備が功を奏して、本番は見事一発OK! 2人でホッとした笑顔で見合ったそうだ。
出演者でありながら、いまでは一人の視聴者としても『花子とアン』に感動しているという筒井さん。
「本当に素敵なドラマです。泣いてしまうので、目が腫れて影響が出ないよう、仕事の前は録画するようにしているんですよ(笑)」