10月7・8日、東京・九段下。氷川きよし(37)のデビュー15周年記念コンサートが日本武道館にて行われた。
ファンの握りしめていたペンライトが会場の暗転とともにキラキラと輝き、さながらの星空をかけるよう、氷川はペガサスに乗って地上31メートルから登場した。わき起こる歓喜の声。
全27曲。ときにコミカルに、叙情的に、声色も表情も変えながら、まっすぐのびやかに歌っていく。そんななか、中盤の14曲目『かあさん日和』を歌い始めると、ふいに涙があふれ、声を詰まらせた。
スクリーンには歌詞が流れ続ける。氷川と、ファンの気持ちがあふれ出した瞬間だった。
「振り返ると、みなさんがどんなときも見守ってくれていました。悲しみも苦しみもバネにして、歌で返していきたいです。僕には歌しかない。命あるかぎり」
氷川は最後にそう締めくくった。もう涙はない。これ以上ない晴れやかな笑顔で、20周年への一歩を踏み出し始めていた。