11月3日、東久邇宮文化褒賞を受賞した書道家の深津諭美子さん(66)。書とアートを融合させた独自の『漢字アート』と言われる手法を確立。国内外で活動してきたことが認められての受賞だった。だが実は、彼女は末期がんに侵されているという。授与式前日のブログにはこう綴られている。
《肺癌を患い 余命3ヶ月 長くて1年と宣告されて 今半年 毎日首肩腕の痛みを耐えて 治療もせず 毎日痛みに耐えて頑張ってます》
そして諭美子さんにはもう1つの顔が。彼女は女優・深津絵里(41)の実の母なのだ。
昨年から体調不良に悩まされていた彼女は、今年になって肩のしこりに気づく。病院で検査を受けたところ、下された診断は肺がん。4月に切除手術を受けるも、すでに体は蝕まれていた。そして伝えられたのは「余命は3カ月、長くても1年」という非情な告知だった。しかし、諭美子さんは放射線治療も抗がん剤治療も拒否したという。
「最初は、家族にもがんであることを言わない予定だったそうです。でも、担当医に『家族を呼んでください』と言われ、ようやく旦那さんや絵里さんを呼んだのです。まわりは当然、がん治療を勧めました。医師も『まだ若いんだから、頑張りましょう!』と言いました。でも彼女には『がん治療で入退院を繰り返すよりも、書道家としての人生を全うしたい』という強い想いがあったのです」(前出・諭美子さんの知人)
家族にとって、にわかには受け入れられない決断だっただろう。それでも、諭美子さんの決意は固かった。8月24日付けのブログには《まだまだ沢山の方に恩返しができてないから 今は死ねません(中略)癌でも奇跡が起こる! いゃ起こして見せる》とある。それは、書道家としての矜持だった。そして最終的に、家族は彼女の決断を尊重したのだ。
「お母さんのことが大好きな深津さんですから、本当は治療してほしかったはずです。でも、彼女も表現者。お母さんの気持ちが痛いほどわかったのでしょう。最終的には、その生きざまを見届ける決意をしたのです」(前出・諭美子さんの知人)
そうして訪れた文化褒賞授与の知らせ。自らの道を歩み続けた末の“神様がくれた宝物”だった。11月2日付けのブログには《神様は私の事 見守ってくださってくれてます 前向き頑張れば(原文ママ)このような素晴らしい賞が頂ける事もあるのです》とある。気が付けば余命と言われた3カ月を通り越し、半年が過ぎていた――。