「すべての試合でベストなプレーをしたい。すべて勝てるチャンスがあると思っています」

 大会直前の会見で並々ならぬ意気込みを語っていた錦織圭選手(24)。16日にロンドンで閉幕したATPツアー・ファイナルで、快進撃を続けた錦織。年間ランキングのトップ8だけが出場できる夢の頂上決戦では、準決勝進出の快挙を果たした。そんな今大会に臨んだ錦織には特別な思いがあったという。

「彼はいま、“賞金をなるべく多く稼ぎたい”という気持ちが強いんです。というのも賞金を貯めて、子供たちのための、テニスの学校を作りたいという思いがあるからだそうです」(テニス関係者)

 錦織は11歳で松岡修造(47)の主催するジュニア育成合宿『修造チャレンジ』に参加し、才能が開花するきっかけとなった。さらに13歳で米国のテニス・アカデミーに留学できたのも、盛田正明テニス・ファンドの支援があったからだ。このファンドは、ソニー副社長だった盛田正明氏が個人の私財で立ち上げた“トップテニスプレーヤーを育成する”ための財団だ。このアメリカ留学がなければ、現在の錦織の活躍はなかっただろう。

「今回のファイナル出場で得た賞金を上乗せすると、錦織の生涯獲得賞金は8億円超となりました。盛田ファンドの資産は約10億円です。錦織選手は、テニス学校や基金を設立するという夢を叶えるため、10億円を目標にしてお金を貯めているそうです」(別のテニス関係者)
 
錦織が「世界一の挑戦」に秘めていたのは、恩返しの思いなのだ。

「錦織選手は、松岡さんや盛田さんに感謝してもしきれないという気持ちなんです。こうやって世界のトップに駈け上がれたのも、彼らの支援や指導のお陰だと実感しているのでしょう。ですから、今度は自分自身が『日本の子供たちを自分と同じく世界の舞台に立たせたい』という使命に燃えているようです」(前出・別のテニス関係者)

 第二の錦織を自ら育てたいという悲願のためにも――。来シーズンも、果敢に世界の頂点を目指して戦う日々は続く。

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