「カテゴライズできない人間というのにおもしろみを感じるというか。何が手足を生やしているんだ?みたいな人はやっぱりおもしろいですよ」
そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第32回のゲスト、シンガー・ソングライターの森山直太朗(38)。後世に歌い継がれるであろう『さくら(独唱)』をはじめ、数々の名曲を生み出す。そんな彼の魅力に迫る2人のぶっちゃけトーク、スタートです。
中山「直太朗くんは歌の雰囲気からすると、インテリ系で、『動』のイメージじゃないんだけど、ふだんはどういう感じなんですか。趣味とかってありますか?」
森山「スキーとか体を動かすことは好きなんですけど、あまり趣味と言えるものがなくて……」
中山「僕も趣味が全然ないんですよ」
森山「え?ヒデさんありそうなのに。何か集めたりとかもしてないんですか?」
中山「なんにも。僕はただ状況に合わせて変わっていくだけなんですよ。子どもが野球をやる、それに付き合う。家族が犬を飼う、だから犬の散歩をする。全部が受け身」
森山「僕が言うのもおこがましいですけど、やはり受け身の天才なんですね。司会をされたり、ときには役者をされたりというのも自らの意思ではなく?」
中山「全部言われるままです。自分の青写真どおりに一つもいっていない(笑)。人に勧められたらやる。囃されたら踊るというのを繰り返して今に至ったんです」
森山「すごい。そしてヒデさん自身がそれをわかってやっていらっしゃるんですね」
中山「そう、“来るの待ち”なんです(笑)」
森山「実は僕も、同じくリアクション型なんですよ。みんなにこれをやったらおもしろいんじゃない?と言われて、やってみるという感じで。毎回“熱々のおでん”を『こ、今回は、どのおでん!?』とビクビクしながら頬張っています」
中山「アハハハハ」
森山「自分の知っているところでやっていれば怖くないんだけど、ひとたびその味を知ってしまったら、嫌よ嫌よと言いながらも」
中山「ちょうだい、がある(笑)。ただ、そのかわり、本当に熱々のおでんにしてね、ってことだよね。僕は基本的に怠け者なので、誰かがそんなふうに刺激してくれないと、日常も仕事も今あるものだけで永遠に飽きずに過ごせちゃうんですよ」
森山「僕もまったく同じです!そこには、順応できちゃう罪みたいなものもありますよね。環境や人間関係次第では自分のポテンシャルをどこまでも停滞させてしまえるというか」
中山「ものすごくわかります(笑)。不思議な共通点というものがありますねえ」