「兄ちゃん(渥美清さんのこと)とはとても仲がよかったです。初めてご一緒させていただいたのは’58年のドラマ『お父さんの季節』(NHK)。浅草から来た方なので怖いと思っていたのですが、本当に優しくて面白い方で、休憩時間にはいつも笑わせてくれました」
’76年の放送開始以来、40年目に突入した『徹子の部屋』(テレビ朝日系・月〜金・12時〜)。唯一無二の長寿番組の節目に、黒柳徹子さんが思い出深い渥美清さん(享年68)とのエピソードを披露してくれた。
「『男はつらいよ』の最後の1本の前、第47作の撮影現場にもおじゃまして、スタジオの隅で2人でしゃべっていました。助監督さんは私と一緒に笑っている渥美さんを見てびっくりしたようです。そのころは体が相当悪かったようで、笑うことはなかったと聞きました。
その後、兄ちゃんに『ご飯を食べよう』と何回誘っても返事をくれなくて。どうしたのかと思っていたら2カ月くらいして逢うことになり、私が『どこへ行ってたの?女を連れて温泉にでも行ってたんでしょう?』と言ったら、涙をこぼしながら笑って『お嬢さん(黒柳さんのこと)、バカですね。行ってませんよ』と。奥さまに『もう寝てるだけでした。笑わせてくれてありがとう』と言われました。
若いころ、一緒に青山を歩いていると『何か買ってやるよ』と言ってくださったので、『兄ちゃん、これ買ってくれない?外国のお弁当箱なの』と。新宿では靴を買ってもらいました。金のリボンのついたスエードのハイヒールで、今でも私の家にあります」