「豊かな表現力、確実なステップと基礎がしっかりしていたから、期待をしていましたが、これほどの活躍は想定外。今季は4回転、トリプルアクセルと難易度の高いジャンプができるようになったことが大きい。次の五輪では羽生のライバルになるでしょう」

 解説者の佐野稔氏も舌を巻く急成長を見せたのは、フィギュアスケート世界ジュニア選手権で頂点に立った宇野昌磨(しょうま)選手(17・中京大中京高)。この大会での日本人優勝は’10年の羽生結弦(20)以来。一躍、“ユヅのライバル”となった宇野選手の素顔とは――。

「顔に似合わずゴルフが趣味で、焼き肉は脂身が少ないハラミとロースが好きとオヤジくさいタイプ。5歳のときに当時中学生だった浅田真央に『一緒にスケートをやろう』と誘われて、伊藤みどりを育てた山田満知子コーチの指導を仰ぎ、すぐ才能を開花させました」(名古屋のスケート関係者)

 現在の身長は159センチ。小学校6年生のときでも130センチ台で、幼いときから“身長コンプレックス”があった。

「テクニックはピカ1。あとは、背が伸びてダイナミックな演技ができれば世界と戦えると誰もが期待するあまり、身長のことばかり聞く記者も。小学生のときは平気でしたが、高校生になり後輩たちにも背を抜かれるようになると、困った表情を見せていました」

 スポーツ紙記者もこう語る。

「昨季までの宇野君は、ジュニアのカテゴリーでは全日本チームのマスコットのような存在。ところが、今季は彼をかわいがっていた選手がシニアに移行し、いつの間にかチームの最年長になりました。しかし、身長が低いことで年下の選手から『しょーま』と呼び捨てにされることも。実際、後輩たちは『いつかはチームから抜ける』と彼を軽んじていたふしも。それが悔しかったんだと思います」

 顔に似合わず、負けず嫌いという彼の心に火がついた。今季、華麗なジャンプを次々と決め高得点を出すことで「身長がないとダメ」というコンプレックスも克服。

「国際大会では必ず帯同していたお母さんの姿も最近は見ていません。親と離れて独り立ちしたことも、精神的に強くなった理由でしょう」

 小さな巨人・宇野選手の今後から、ますます目が離せない。

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