「いくつかお題を出され、それをまとめ上げる。職人として、ビジネスとして作品を作り上げる面白さがありました」(園子温)

 人気コミック原作、脚本・鈴木おさむ、主演・綾野剛(33)。『愛のむきだし』(’09年)や『ヒミズ』(’12年)などを手掛け、“鬼才”と評される園子温(53)がヒットを狙った大作映画『新宿スワン』を監督した。新宿・歌舞伎町を舞台に、クラブやキャバクラ、風俗に女性を紹介するスカウトマンの成長を描く青春群像劇。

 綾野のほか、山田孝之(31)、沢尻エリカ(29)、伊勢谷友介(38)……と個性豊かな俳優が多数出演しているが、まとめるのは大変だったのでは?

「綾野くんの新しい一面が出せたんじゃないかと思います。と言いますのも、綾野くんが自分で打ち出してきたイメージがあって、『そういくか!』『僕もそっちにのっかるよ!』という感じで。全体的に役者の熱量がすごかったので、僕も負けないように、相互にハンパなく燃え上がったというか。沢尻さんも『みんながすごく熱かったから、自然にその中に染まっていった』と言っていましたよ」

 完成披露試写会で綾野は、「出し惜しみをしないよう心がけました」と語っている。また、現場の熱さは’14年春に行われた撮影時のYahoo!ニュースでも伝わってきた。ロケに人が集まりすぎて撮影が止まってしまったのだ。

「ニュースになったせいですごい混乱が起きたことになってしまいましたけど、僕自身はそれほどイヤじゃなかったというか。集まってきた人の中に地元のヤンキーとか面白い男もいて、『君、レギュラー。明日から毎日来て』って(笑)。本物のキャバクラ嬢にも『君たちは現役なんだから、撮影に来て』と取り込んで。みんなまじめだから来てくれるんです。そのおかげで歌舞伎町の混沌とした感じがより出せたんじゃないかと思います」

 冒頭でも話しているように、今作は園子温“臭”があまりしない、少し違った仕上がりになっている。いい意味での制約の中で楽しみながら撮影したというが。

「今までは、原作から脚本、演出、音楽とすべてやっていましたから、ニオイを残すどころか臭いくらいですよ(笑)。でも、だから僕はこういう作品を作るときに、自分の持ち味をどう残すか、とか、爪痕を残そうという気持ちを持たずに、スッキリとやれるんだと思います」

 さらに、今年は『新宿スワン』のあとにも、続々と監督作が公開される。作品によってまったく違う“園子温ワールド”が楽しめることだろう。

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