「今月、ブラジルまで行ってライブやってきたんですよ!メンバー全員、『よっしゃー、ブチかましてやる!』っていう熱い気持ちを出せて、自分にとってもバンドにとっても、いい転機になったライブをやれました」

 目をキラキラさせて語るのは、KAT-TUNの元メンバー、田中聖(29)。13年9月にジャニーズ事務所を解雇された田中は、昨年10月から5人組バンド『INKT』のボーカルとして活動している。

帰国したばかりで、まだライブの興奮冷めやらぬ田中。かつては、何度も“問題児”と報じられたが、いまは何を話しても音楽のことになってしまう印象だ。

 ――なんだか、すごく「真面目」という印象を受けます。

「どうなんでしょう!真面目!(笑)真面目なつもりもないんですけどね。ただ、今は自分に嘘をついちゃいけないときだし、絶対に逃げたり甘えちゃいけないのかなと。人生の分岐点というか、ここでドロップアウトしたら、たぶん2度と這い上がれない気がするんです」

 ――昔は“遊び人”というイメージが強くて……。

「うんうん(笑)。いろいろヤンチャでしたからね。20代前半は毎日のように飲んでたし、飲んでなくても飲みの場に行ってました。いまは、(酒は)月に1回飲むか飲まないか。基本、家でもあまり飲みません」

 そう言うと、田中は自分の喉を指さした。

「ホント、ここ(喉)で全部の仕事をしなきゃいけないので……」

 ――以前は話せなかったことも聞かせてください。いま29歳。そろそろ結婚について考えますか?

「う~ん、そうでもないです(笑)。漠然と昔から、子供はほしいとは思ってます。それは、うちが大家族で、親父とも兄弟ともおばあちゃんとも仲が良いので、自分もこんな家族がほしいなと、ずっと思ってて。こんなこと話すと怒られそうなんだけど……親父とおふくろも、毎朝、『行ってきます』のチューとかしてたんで(笑)。いまは、音楽をいちばんに考えたいという感覚なんで、あとはタイミングなんすかね、わかんないですけど」

 ――前の事務所の仲間と、遊んだりは?

「それはないです。うん。一応、(事務所を辞めた以上はきちんと)気を遣いたいなと思って。それは向こうも一緒だと思うんですけど」

 自分のことを「友達が少ないんすよ(笑)」と話す田中は、「これ、まだ言ったことなかったかな」と話して、少年時代の思い出を語り出した。

「じつは、昔から漫画好きで、自由帳に漫画描いたりしてました。小学校5年生のとき、俺、漫画クラブだったんですよ。好きな漫画を持ってきて、それをマネして描いてみるみたいなクラブ活動でね。パソコンクラブにも入っていて、ただの“暗い子”だったんです(笑)。6年生からは、少しアグレッシブに陸上とかやり始めたけど、基本、クラスでもけっこう“ネクラ”なほうだったんですよ」

 いまも、漫画や映画、小説が大好きな“文化系男子”だと、楽しそうに語る。

「昔、小説にすごくハマっていた時期もあったんです。京極夏彦先生の作品を買いあさって読んで。そんなときに、ちょっと憧れて小説を書いてみたこともありました」

 ――ピースの又吉直樹さんみたいに芥川賞を狙って……。

「いやあ、実際に書いてみたら“難しいな”って(笑)」

 ブラジルから戻り、7月19日からは、全国7カ所でのライブツアーも始まっている。

「いずれは海外ツアーもやりたいですね。『ライブに来てくれ』と、アメリカやヨーロッパやアジアなどいろんな国の方から言っていただいているので、それはもう大変に幸せなことで、ありがたいです。“やりたいこと”と“やらなきゃいけないこと”が一致しているいまの自分は、本当に幸せだなと思ってます」

 “再出発”した田中は、いま大きく輝き始めている――。

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