7月下旬の夜10時、渋谷区内のカフェダイニングにKABA.ちゃん(46)はいた。いっしょにいたのは、親友の野沢直子(52)。向かい合うのではなく、隣に座って話を聞いている。KABA.ちゃんは女性モノのハンカチを取り出すと、何度も涙を拭いていた。その姿はテレビでおなじみの明るいキャラとは違い、どこか憂いを帯びているようにも見えた――。
7月13日、『ノンストップ!』で性別適合手術を受ける予定と語ったKABA.ちゃん。すでに睾丸のない状態で、ホルモン治療も開始。海外で手術を受け、将来的には戸籍変更も目指しているという。7月27日には、整形姿も初披露。だが、なんでも打ち明けるオネエキャラの陰には、語られない思いもあるようだ。数日後、KABA.ちゃんに話を聞いた。
「鼻を整形したばかりだったので笑うと痛くなって。隠していただけだと思います(笑)」
だが2人には真剣な空気が漂っていた。弱い姿を見せるのが恥ずかしかったのだろうか。
――あのとき、どんな会話をされていたのですか?
「今後の性転換手術の予定とかを話していたんです」
――なぜ、このタイミングで決断されたのですか?
「本当に手術をする準備が整っただけなんです。手術したらどうなるか調べていたんですけど、なかなか情報が載ってなくて。それに思いつきでやってもいいものかと気持ちを整理するのに時間がかかったんです。まあ思い付きじゃないんですけど。自分がゲイだとカミングアウトしたときから、手術を受けると決めていたのだと思います。小さいころから『女性になりたい』という気持ちはありました。好きになるのは、いつも男性でしたし」
あっけらかんと話すが、その決断には当然、苦悩もあったはずだ。性転換手術に詳しいナグモクリニック名古屋院長の山口悟医師は、こう語る。
「性適合手術は、簡単にはできません。精神科医2名の診断を受け、その後も身体検査、染色体検査、ホルモン値の検査も必要です。そこで性同一性障害と診断されて、精神療法とホルモン療法を経て、それでも手術が必要と判断されて初めて手術になるんです。術後の苦難もあります。本人が生まれ変わっても、社会的に受け入れられずうつ傾向になる人も多い。葛藤や苦悩はつきもの。KABA.ちゃんも、かなり悩んだのではないでしょうか」
それでも決断したKABA.ちゃん。好きな人がいるとも告白していたが、どんな人なのか。
「一般の方で、知り合ってまだ半年ほど。『私と仕事どっちが大事』と質問したら、仕事を選ぶような人。そのほうが好きなんです。本当は私って言ってほしいんですけど(笑)」
――最近は、いつ会われましたか?
「1カ月近く会っていないんです。でもメールや電話で連絡は取り合っています。不安もあります。女性として見てくれていると思うのですが、ストレートな男性なので。本物の女性と比較されると、足りないところもありますし。連絡が来なかったときには、もっといい人を見つけちゃったのかなって。そんな不安と闘っています」
――彼は、手術についてどう言ってくれていますか?
「肯定的ですね。応援してくれています」
――では女性になったら、何をしてみたいですか?
「水着は着てみたいです! あと女性モノの下着で上下そろえてみたいですね」
――結婚願望は?
「今の彼は考えてないですね……。とりあえず彼との仲を温めていけたらと思っています」
――告白はしましたか?
「……彼は、私の気持ちをわかっていると思います」
――今後は、女性になってもっと女を磨いていくということなんですね。
「そうなんです!外見だけでなく、内面も磨いていきたいですね」
最後にいつもの笑顔を見せてくれたKABA.ちゃん。その一途な愛が、彼女を前へと突き動かしている――。