「いくよちゃんが亡くなって百か日が過ぎましたけど、ずーっと悲しいままですね。いまももちろん、いくよちゃんのことは1分、1秒たりとも忘れたことはありません。部屋に彼女の写真を飾って、そこにお水とお花を置いて、毎日『頼むで!』と。きょうも『いくよちゃん、頼むな!守ってや、押してや』とお願いして家を出てきました」
そう悲しみの胸中を語ったのは今くるよ。『今いくよ・くるよ』としてデビューしてから40年以上。今いくよさんが、胃がんで急逝してから4カ月たったいま、相方の意外な素顔を明かしてくれた。
「2人とも高校時代からソフトボールに明け暮れて、女性としての色気はなかったと思うんですわ。しかしデビューしてから、彼女は、お化粧してない顔を誰にも見せなかった。後輩の女性芸人たちは口をそろえて『いくよ師匠の素顔を見たことない』言いますけど、私だって、芸人になってからは見たことがない。海に潜るような仕事のときでも、まつ毛をバシーン、バシーンて付けてきますから(笑)」
高校のソフトボール部でチームメイトだった2人は、高校卒業後はOLに。いくよさんは大手生命保険会社で働いていた。
「いくよちゃんは、会社に勤めていたころからお化粧が好きでしたけど、芸人になったことで”芸人のたしなみ”として『もっとせなあかん』と思ったんやと思います。彼女の家には『まつ毛の部屋』があって、”流し目”から全世界のまつ毛がそろっていた。色も金から銀から。中途半端が嫌いな彼女は、メイクでもそれくらい徹底していました。そやから、いくよちゃんが亡くなったときに、私は、いつものメイクさんに来てもらってきちんとお化粧をしてもらいました。お葬式のとき、彼女の顔を見た桂文枝師匠は『まつ毛で棺の蓋が閉まらんの見たの初めてや』言わはりましたけど(笑)、それくらいきちんとメイクして送ってあげました」
そんな相方への深い愛を胸に、再出発への思いを語る。
「亡くなったいまも、いくよちゃんと私は『2人で1人、一心同体』ですから。これからも『漫才コンビ「今いくよ・くるよ」のくるよ』としてがんばらなあかん、と思っています」