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「ストリップショー」「女相撲」「秘湯の旅」……。深夜番組のイメージは1965年にスタートした『11PM』から作られた。その『11PM』のライバル番組の筆頭といえば『トゥナイト』だ。

 

なかでも山本晋也監督(76歳)の風俗レポートは、『11PM』の視聴率を抜く起爆剤になった。監督は“ほとんどビョーキ”という流行語も生んだ。風俗嬢に「変態」と言えず、俗語として相手をほめる意味がある英単語「sick」を用い、「ビョーキ」となったという。

 

「番組当初は、のぞき部屋の風俗レポートをしようとカメラを回しながら歌舞伎町を歩いていると、チンピラがわざとカメラに映り込んでくる。放送後にクレームをつけてきて、毎回言い争いになって大変だった。それで、いざというときに撮影したテープを懐ろに隠せるようにと、いつもサイズが大きめのジャンバーを着ていたんだよね」(山本監督・以下同)

 

粘り強い風俗レポートによって、いつしか『トゥナイト』だけは、歌舞伎町の取材が許された。

 

「元締めから『歌舞伎町の宣伝になるからトゥナイトの邪魔はするな』ということだったみたい。それから歌舞伎町のお店はとても協力的で、番組で取り上げたお店には客が殺到していた」

 

一方で、“裸が映るのはあと何秒”を示すカウントダウンが入る「ティッシュタイム」の過激さが問題となり、国会で取り上げられた『TV海賊チャンネル』にも出演していた山本監督。

 

「その瞬間だけ視聴率が急に上がるから、番組のスタッフは裏番組で放送されていたテレビ朝日の『ミッドナイトin六本木』をチェックしながら、あちらがエッチなコーナーを始めると、『ティッシュタイム行け!』って指示を出して映像を入れ込んでいた」

 

大好評の「ティッシュタイム」だったが、裏ではギリギリの攻防が繰り広げられていた!

 

「ティッシュタイムは毎回生放送のスタジオで撮っていた。ある日、女のコのシーンで『あれ、今、ヘア出てなかった!?』と。それからはティッシュタイムだけVTRになり、カメラマンもきわどいカットに挑戦できるから映像がより濃厚になった(笑)」

 

終了した両番組には未練が残る。

 

「視聴率はけっして悪くなかった。当時の番組スタッフも偉くなっているし、もう一度復活させてほしいよね」

 

(FLASH 2015年12月22日号)

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