師走の風物詩のひとつ、「新語・流行語大賞」が今年も発表になった。誰もが納得のあの言葉から、それって今年のものだっけ……なんて言葉まで。いったいいくつの言葉が来年の今ごろまで生き残れるのだろうか。
「言葉というのは使う人がいなくなれば死んでいく運命ですから、ラッスンゴレライのような言葉は“面白さ”の賞味期限が切れると同時に死語になるでしょうね(笑)」
そう語るのは、お笑いコンビ「米粒写経」のひとりとして活動するかたわら、一橋大学の非常勤講師もつとめる異色の学者芸人・サンキュータツオさん。そもそも死語になるためには、その前に広く人口に膾炙することが必要であり、死語になれるだけでも特別な言葉だという。
「ひと口に新語・流行語といいますけど、大きく分けると(1)メディアやお笑いから生まれた語(2)これまでなかった新しい概念を表現した語(3)これまでにあった語を新しく組み合わせた語、そして(4)名言−−に分類できると思います。今年のノミネート50語のなかで言えば、(1)はラッスンゴレライやあったかいんだから以外にアゴクイ(男性が女性のあごを手で持ち上げるしぐさ)なども含まれます。(2)に含まれるのは社会的なものが多く、今年なら大阪都構想やドローンといったところでしょうか。典型的な(3)はなんといっても爆買い。日常的な語である『買う』と、程度が激しい意を表す『爆』という接頭語の組み合わせ。どちらも耳になじんだ言葉ですが、その2つを組み合わせたことで新しい意味が付与されるケースです。こういうパターンは日本語には多いんですよ」
たしかに「◯◯族」や「◯◯ギャル」「◯◯力」といった新語は挙げればキリがない。
「いずれのパターンの新語・流行語にしても、多くの人が口にするようになった瞬間から、死語への道は始まるのです。僕は“居酒屋文脈”に乗るという呼び方をしていますが、世のおじさんたちが飲み屋で使い始める程度まで浸透したら危険信号です」
なるほど。新語・流行語がもともとの使われ方や、使っていた若者層から独り歩きを始めて、おじさんたちが使いだすといっきにダサくなるということか。この忘年会シーズン、安心して下さい、穿いてますよ。を連発しているおじさんたちが早くも目に浮かぶ。合掌。