「まだまだ人生、勉強が必要。僕は自分にダメ出しばかりしてますよ。たとえばクイズ番組に出る前は徹底して勉強します。出演する番組をビデオにとって、問題が出るたびに停止して、答えを自分で書いて、『チッ。違った。なんだよ』とかブツブツ言いながら。やり終わったら、そのときできなかった問題を必ずまたやる。出演しているときも、答えがわからないまま収録が続く場合には、気になって仕方がないから、家に帰って必ず調べますもん」
そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第55回のゲストで、俳優の高橋英樹さん(71)。バラエティ番組では娘・真麻さんとの共演も多く、豪快に笑う朗らかな人物としておなじみ。一方で、時代劇には欠かせない迫力ある役者としても活躍中。老若男女が知っているお茶の間の人気者は、イメージどおりのとても親しみやすい素敵な人でした−−。
中山「子どものしつけが厳しかったと聞きましたが」
高橋「真麻は僕が37歳のときの子ですし、高橋英樹の娘ってことで周りの人たちから甘やかされてしまうかもしれない。親がいちばんきちんとしなきゃいけないと、必要以上に厳しかったかもしれない。反省してますね。真麻が泣いていても、『もっと頑張りなさい』と叱咤激励ばかりしていたから。真麻は『褒められたことがない』ってよく言いますよ」
中山「お母さんに反抗すると、お父さんに死ぬほど怒られたって……」
高橋「そう。わが家は『奥さんの機嫌がいいのがいちばん』。だから、おまえもわきまえろってことね(笑)」
中山「わかります(笑)。真麻ちゃんの言葉がのちに、英樹さんがバラエティに出るきっかけにもなったとか?」
高橋「今話題のSMAPですよ。真麻が小学生のときに『パパ、俳優さんだよね。芸能人なんだよね?私の友達、誰も知らないよ。SMAPと一緒にテレビに出られないような人は芸能人じゃないよ』って言ってきたのね。その真麻の言葉が私の人生を変えていくんです。毎週視聴率15%を取っていたとしても、残りの85%の人たちは見ていないということ。その85%の人たちに自分の存在を知ってもらうには、15%の人たちが見ていない番組に出なければ、一生知ってもらえないと思うようになって、SMAPの番組にすぐ出させてもらったんです」
中山「SMAPだって驚いたでしょうね」
高橋「もうどうしたらいいのかわからないって感じでしたよ。時代劇ばかりやっていたときは、雰囲気を維持するために、新幹線に乗るときも街を歩くときも、しかめっ面をして力を入れていました。近寄りがたかったのか誰一人話しかけてくる人はいなかった。でも、バラエティに出始めたら、街で小さな子どもに『あ!ヒデキだ!』って言われたの。うれしかったねぇ〜」
中山「真麻ちゃんの結婚については?」
高橋「こればっかりは強制もできないし、娘の人生なんでね。ただ真麻にはウチの夫婦は変わり者で、希有なケースだとは言っています。『これだけ仲よく、楽しく過ごせている夫婦っていうのは、世の中であんまりいないよ』とは言っていますが、夫婦や家族という幸せを真麻自身にも味わってほしいなとは思っています。孫ができたら猫かわいがりするでしょうね〜。今度は褒めまくりますよ。品川界隈のアメは全部なくなると思います(笑)」