(ちびまる子ちゃんランドにて 西久保瑞穂さん提供)
5月17日に乳がんのため亡くなった声優の水谷優子さん(51)。アニメ『ちびまる子ちゃん』で“お姉ちゃん”・さくらさきこの声優を務めてきた彼女が最後に収録した回が、5月29日に放送された。
水谷さんが『ちびまる子ちゃん』の最後の収録に挑んだのは4月22日だった。病と闘いながらの収録で、現場には夫でアニメーション監督の西久保瑞穂さん(63)が同行。「吐き気もあったので、洗面器を持って移動していました」と西久保さんが明かすように、本人の強い意志により実現したものだった。
水谷さんが「できた」と語っていたという今回の放送には、お姉ちゃんがクローズアップされるエピソードもあった。
29日の放送前には、まる子の声を務めるTARAKOさんが自身のブログで、「さよならなんて言うわけがない また会えるもん」と優子さんへの思いを告白。「ゆう」と水谷さんを呼んでいたことを明かし、「ゆうはおねえちゃんだったよずっと」と綴っている。さらに、水谷さんに東京ディズニーランドで誕生祝いをしてもらった思い出を、優子さんとキャスト陣の写真とともに振り返った。優子さんの死後沈黙を守ってきたTARAKOさん。「今日放送のまる子はおねえちゃんがいっぱいです」と報告し、故人を追悼した。
放送は、『お姉ちゃんと写生大会に行く』『友蔵、まる子を叱りたい』の2本。優子さんのさきこが活躍したのは、前半の写生大会に行くの巻だった。まる子とさきこは、一緒に写生大会に参加する。お目当ては、お母さんの手作りの弁当。公園に着き、同じシートに座って構図を考える2人だったが、イチャつくアベックやバレーボールをするグループの妨害に遭い、落ち着かない。3度目の場所でようやく写生を始めるのだが、腹ペコで「ぐぅ〜」とおなかがなる2人。お弁当を食べようと、今日、初めて意見があった2人は、おにぎり、タコさんウインナー、何よりも楽しみにしていた、デザートのメロンを前に笑う。まる子は、「お高いメロンってわけにはいかなかったんだな。でも、お母さんにしては奮発したね」とらしいコメント。すると今度は、2人の前にまる子のともだちの山田くんが現れ、弁当を忘れておなかを空かせているという。2人は、彼を誘い、3人で仲良く弁当を食べるのだった。食後、仲良く写生を再開した2人はそれまで口論が絶えなかったのが嘘のように、絵の具を貸しあい、仲良く絵を描く。そして、2人はそろって写生大会に入賞する。優子さんの声のさき子は、ふだんと変わりない声で、意地悪だったり、やさしく諭したりとおねえちゃんらしさに溢れていた。姉妹が仲良く絵を描く姿は、さぞ、ファンの涙を誘ったであろう。
放送後には早速、ネット上で感動の声が上がっている。
「長い間楽しませていただきありがとうございました。 ゆっくりお休みください…」「まるちゃんのお姉ちゃん、今日の放送が最後と知り、リアルタイムで、かぶりつきで見させていただきました。 岡ひろみからのファンでした。 たくさんの思い出ありがとうございました。 合掌」
西久保さんが「できればリアルタイムで見てあげたいと思っています」と語っていた最後の放送。これからも多くの視聴者の心に残り続けることだろう。