東京郊外にある大学病院。その敷地内を車椅子に座る男性の姿があった。西田敏行(68)だ。黒のニット帽をかぶり、首にはコルセットが。左手には杖を持っている。さらに目を引いたのは驚くほどの“激やせ”ぶりだった――。
西田といえば今年2月に自宅ベットから転倒し、頸椎亜脱臼の重症。4月19日に手術を受け5月上旬の復帰を目指していたが、4月末に胆のう炎が発覚し5月12日に摘出手術を受けていた。本誌が目撃したのは、そんな最中の姿だった。復帰は遠いのではないかと思わせるほどの様子だったが、驚くことに彼はそれから2日後の6月3日に『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)の収録で本格復帰を果たした。
そんな“奇跡の復帰”を支えていたのは、寿子夫人(65)だ。本誌が目撃した日も、西田のかたわらには夫人の姿があった。夫妻が結婚したのは、74年8月。西田が所属していた劇団『青年座』に、寿子さんが研究生として入ったことがきっかけだった。そこで西田が寿子さんにひと目ぼれ。数カ月後には彼女のアパートに転がり込み、同棲を始めた。
「同棲をきっかけに彼女は劇団を辞め、女優の夢をあきらめました。それからというもの、寿子さんは下積み生活を送る西田さんのため仕事を開始。彼女はただひたすら西田さんが俳優として花開く日を夢見て、経済的なサポートを自ら買って出ていました」(芸能関係者)
入籍から2年後した76年7月には長女が誕生。寿子さんの借りていたアパートから、世田谷区内の家賃35,000円・2Kのアパートに引っ越したという。その1年後の77年10月には4000万円で待望のマイホームを手に入れる。西田は自分の両親もこの家に呼び寄せ、次女にも恵まれた。そうして家族を養う責任が増したことも影響したのだろう、彼はドラマに映画にと大活躍するように。そして主役を張る俳優として地位を築いていった。
「長女を出産した後、西田さんは寿子さんに『育児が一段落したら女優の勉強を再開してもいいんだよ』と言ったそうです。でも夫からのそうした申し出を、彼女はスッパリ断ったそうです。寿子さんは女優の夢を完全に諦めてまで自分にかけてくれました。だから42年も連れ添った今でも、西田さんはいまだに奥さんに頭が上がらないんです」(芸能関係者)
夫に何があっても自分が支えたい。そんな強い決意で“西田の妻”に徹する覚悟をした寿子さん。本誌は、5月下旬にも彼女が夫の入院する病院へ向かう姿を目撃している。午前11時過ぎに車を走らせた彼女の手には、4つもの大きな紙袋が。復帰へ向けてリハビリに励む夫のため、寝巻の替えや好物の食べ物などを持参してきたのだろう。そして6月1日も、西田の車椅子を押していた寿子さん。向かった先は、病院内にあるリハビリ室。そこで1時間ほど励んだ西田は、夕方4時過ぎになって再び寿子さんといっしょに出てきた。
夫人に車いすを押してもらいながら向かったのは、近くのコンビニ。店内に車いすを止めると、寿子夫人は急いで買い物をすませていく。普段からコミュニケーションが取れているのだろう。一連の動作は、あまりに自然だった。そして再び病棟へと帰って行く途中、主治医らしき男性とすれ違った際に寿子さんが丁寧に挨拶をする姿が印象的だった――。
『探偵!ナイトスクープ』で番組復帰した際「一生懸命リハビリをやって、あと15年は稼がせてもらいます(笑)」と語っていたという西田。つらいリハビリに耐え復帰を果たしたその姿を誰よりも喜んでいるのは、ほかならぬ寿子夫人に違いない。