連続テレビ小説『とと姉ちゃん』第18週は、広告の可否を巡って衝突した花山(唐沢寿明)と常子(高畑充希)。もう君と一緒に雑誌は作らないと花山は会社を去る。花山抜きで開かれた次号の特集会議で、美子(杉咲花)は誰でもできる小麦粉料理を紹介する企画を提案する。しかし、それは花山が発見したネタだった。専門家に助言を求めて、常子たちは宗吉(ピエール瀧)の元を訪れる。宗吉と照代(平岩紙)は雑誌作りに協力することを快諾。

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会社に戻った常子たちは、花山のことを忘れたかのように、めいめいの仕事をこなす。美子の機嫌も戻り、元気そうな常子の様子を見ながら、水田(伊藤淳史)は安堵するのだが、鞠子(相楽樹)はひとり暗い表情。常子は、周りが困っているときほど、自分がどんなに辛くても、明るくふるまって元気付けようとすると心配する。「今、とても辛いんだと思います」と鞠子。常子と花山は、同じものが見えている夫婦のように思っていたという鞠子は、将来への不安を口にする。水田は、精いっぱい支えると宣言。突然、「僕とお付き合いしていただけないでしょうか!」と鞠子に告白する。「なぜ、こんなときに」と困惑し、その場を立ち去る鞠子。

 

宗吉が作った小麦粉料理が完成。味見をした綾(阿部純子)たちは、味は申し分ないが、これでは読者が喜ばないだろうと感想を漏らす。入手困難な材料と複雑な課程で出来上った料理では、仕事で時間のない自分たちには作れないというのだ。「もっと簡単に、混ぜて焼くだけで作れる料理が知りたい」と梢(佐藤仁美)たち。その言葉を受けて常子が、昔、百貨店で食べた「ホットケーキ」を思いつく。シロップをかけなければ、パンと同じ。宗吉も「誰でも簡単に、家でも焼ける」と合意する。常子たちは、妙案とばかりにさっそくレシピの原稿作成に取り掛かるのだが、花山が抜けた穴は大きく、上手くいかない。そんな折、料理学校の副校長が大手商事会社の役員・松平を連れて現れる。松原は、次号に自分の妻が考案した料理を載せてもらえると嬉しそうに話すのだが、事情が分からず、キョトンとする常子。袴田は、広告料はこれまでの倍出すので、「ポワソン・ア・ラ・アメリカン」という料理を記事にして欲しいと言う。広告を載せてしまうと、記事に制約ができてしまうかもしれないという花山の言葉が、常子の頭をよぎる。

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宗吉に作ってもらった「ポワソン・ア・ラ・アメリカン」は、庶民が入手できない高価な食材を使うだけでなく、完成するまで半日もかかる手の込んだ料理。花山だったら、庶民のための雑誌にこんな料理を載せないと、美子は常子を説得する。しかし、記事にしないと広告料が入ってこない。出稿がなくなれば、次号が『あなたの暮し』の最終号になってしまうかもしれない。広告主の無理難題を聞いて会社を存続させるかどうか、常子は決断を迫られる。花山の言うとおりにしないからこのような事態を招いたと苛立つ美子。君子(木村多江)は、それでは、ただの姉妹ゲンカだと戒める。「花山さんのことは会社の問題。会社のために社長と力を合わせることが社員には大事なのでは?」と。

 

翌朝、出社した鞠子たちに起こされる。美子は「私たちは決めた」と言い、社員として社長の判断に従うと背中を押す。料理学校を訪ねた常子は、社内で検討した結果、「ポワソン・ア・ラ・アメリカン」を掲載できないことを説明する。自分たちの申し出を断るなら広告を出稿しないと激怒する袴田。常子は、たとえ会社が倒産しても、自分たちの理念は曲げられないと詫びる。会社に戻った常子を明るく出迎える鞠子たち。常子は、料理の掲載を断ったため、次号は料理学校の広告料が入らないことを報告する。美子らは、「よかった」「これですっきりした」と常子を励ますが、このままでは会社は倒産するだろう、と常子。水田と岡に次の就職先が書かれたメモを渡し、これまで会社に尽力してくれた礼を言う。美子は、広告を載せないなら花山の力を再び借りようと提案するのだが、常子は、潰れかかった会社に戻ってもらうのは迷惑だからと乗り気でない。美子は机にあった名刺を手に取り、谷(山口智充)の元を訪ねる。

 

美子は、「あなたの暮し」が次号で終わるかもしれないことを話し、谷と花山の家を訪れる。花山は谷の言葉に耳を貸そうとしない。美子は、自分の企画に最後まで責任を持つべきだと次号の特集が小麦粉料理であることを告げる。自分の企画を盗んだのかと問う花山に、美子は、花山の企画をやれば、もう一度常子と話す機会ができると思ったからだと釈明する。しかし、花山は、随分勝手な話だと言って聞き入れない。谷は、常子のところ以上に、花山が自由に雑誌を作れる場所はないと再び説得。じつは、常子からも花山を説得して欲しいと泣きつかれたと話す。それが谷の作り話とも知らず、花山は顔色を変える。

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谷が常子の会社に突然、やって来る。一緒に来たのが花山と知り、驚く常子。入ってくるなり悪態をつく花山は、常子が謝罪したいと言うから来てやったとふてぶてしい態度をとる。身の覚えのない常子は反論。花山は、話が違うと谷を攻めると、「お互い素直になれないから、俺なりのプレゼント」と谷。

常子は、帰ろうとする花山に、今まで以上にいい雑誌を作ってみせると言いかける。すると、美子が、小麦粉の企画は花山の発案だと明かす。謝る美子に戸惑う常子。しかし、花山は、常子が思いついた料理がホットケーキだと知ると、「いいアイデアだ、結局、私は何も思いつかなかった」と感心する。水田は、常子と花山、2人でなければホットケーキにはたどり着かなかったと指摘。時には折れることが必要だと言われ、「私は折れません」と常子。「『あなたの暮し』の理念を折らないためには、どうしても花山さんが必要なんです」と花山に頭を下げる。

 

『あなたの暮し出版』に戻った花山は、常子たちの書きかけの原稿を見て、早速ダメ出しを始める。「これがないと我が社じゃないわ」と嬉しそうな美子を見て、不思議に思う宗吉。花山は、宗吉の店で料理の経験のない水田に原稿通りにホットケーキを作るように指示するが、細かいニュアンスが伝わらず、失敗してしまう。「硬くなるまで」といった書き方では、人によって受け取り方が違うことに気づく鞠子。誰でも同じものが作れるように、花山は写真を使うことを提案する。それは料理の作業工程を分解して説明する画期的な方法だった。

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そんな折、照代は小橋家を訪ね、君子にある相談をしていた。宗吉たちも、仕出し屋を復活して伝統を守るか、儲けの見込める洋食屋にするかで悩んでいたのだ。一方、宗吉の店では、綾(阿部純子)たちが写真入りの記事を見ながら、ホットケーキ作りに挑戦する。簡単だと言って、楽しそうに調理する女性たち。完成したホットケーキは見事な出来栄えで、美味しいと絶賛する。記事の成功を確信する美子と花山たち。その晩、宗吉は、常子たちを見ていて気付いたと照代に話す。もともと客に美味しいものを届けたくて店を継いだ。「洋食、和食にこだわる必要はない。両方出そう」と宗吉。店名は、「キッチン 森田屋」に決めるのだった。

 

そして、発売された雑誌は、常子の不安はよそに、順調に売り上げを伸ばす。分解写真による調理解説は、大きな話題となった。水田の試算では、次号も発行できると言う。会社が潰れずに済むと喜ぶ鞠子たちを尻目に、相変わらず知恵の輪に興じている。「次号の構想が無駄にならずに済みそうだから喜んではおくか」と素っ気ないが、その花山の言葉に喜びが噛みしめる常子たち。

鞠子は、おでん屋に水田を呼び出す。やってきた水田は、最後の晩餐だと言い、自分と話すことなどないはずだと不満を漏らす。ところが、鞠子は、先日の水田の申し出を「正式にお受けしたい」と打ち明ける。

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昭和25年。雑誌創刊から3年の月日が流れる。30歳になった常子は、ますます雑誌作りに熱をあげていた。新聞にくまなく目を通し、行列を見つけたら並ぶ。その姿は、結婚を微塵も感じさせない活躍ぶり。一方、鞠子は水田と交際を続けているが結婚には至らず、花山からも結婚を控えているなら意見を聞きたいと野暮な煽りを食らうことも。周囲に炊きつけられ、水田は一念発起してプロポーズを決行。「僕と夫婦になってください」と求婚する水田に、鞠子は、「自分なんかで良いのか?」と尋ねる。水田が鞠子の全てを愛していると答えても、鞠子は、「少し考えさせて欲しい」とはっきりせず……。翌朝、プロポーズをしたことを常子たちに報告する水田。すぐに返事をくれない鞠子の気持ちを分からないと思い詰める。常子と美子は、鞠子が水田を好いていないわけはないと慰めるのだが……

 

19週は、「鞠子、平塚らいてうに会う」。水田(伊藤淳史)からのプロポーズに答えを出せない鞠子(相楽樹)。常子(高畑充希)が理由を尋ねると、大学まで出してもらったのに出版の仕事もままならず引け目を感じているのだと言う。東堂(片桐はいり)からの助言もあり、鞠子はまず仕事で成果を出そうと奮闘する。ある日、突然作家が下りてしまい予定の原稿に一つ穴があいてしまう。他に良い作家はいないかと花山(唐沢寿明)に言われ皆が悩む中、鞠子がある提案をする……。

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