連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の第26週(最終週)は、働く女性に役立つよう、『あなたの暮し』の内容も職場の環境も変えていくと、常子(高畑充希)は社員とテスターの前で宣言する。おもな読者は主婦で、そのあり方も多様化してきている。今でも十分だと答える社員に対し、常子は必要であれば自宅での作業を認めると発言し、皆は驚きを隠せない。しかし、10人いれば10人にそれぞれの暮しがあり、その暮しを認めていくことが、働き方が多様化する今の時代にあうと、花山(唐沢寿明)は満足気だ。「私も私になりに答えを出さねばならんな……」。花山も新しい企画を始めようと、一人広島へ向かう。

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音信不通のまま数日が過ぎた頃、取材帰りに花山が倒れたという連絡が編集部に入る。急いで病院へ向かう常子たち。聞くと、市井の人々に戦争中の暮らしの様子を取材して回り、記録していたのだという。「以前から、『あなたの暮し』がこれからの世に提案すべきものは何なのか」と考えていたという花山。これから世の中が失っていくものを忘れないよう、戦争に関わってしまった人間として戦争を知らない世代にきちんと記録を残したいと常子たちに訴える。体調不良を押して取材を続けようとする花山を見て、妻・三枝子(奥貫薫)や娘の茜(水谷果穂)は止めようと必死。そんな家族の姿を見て、常子は何も言えなくなる。しかし、「死んでも構わん」と生涯編集者でありたいと願う花山の気持ちが痛いほど分かる常子は、ある提案を持ちかけることに……。

花山がしようとしている仕事は続けるべきだと思うと常子。『あなたの暮し』で、読者から戦争体験談を募集すれば、取材に出なくても多くの声を集めることができると提案する。常子は、「読者を信じてみませんか?」と花山を説得。三枝子と茜もその提案に納得し、花山も同意した。「募集文は私に書かせてくれ」。花山は、もう二度と戦争をしない世の中にしていくためにペンを取って原稿を送ってほしいと欲しいと綴った。

image戦争の体験談を募集してから2ヶ月が過ぎたある朝。出社した常子たちは、編集長室にいる花山を見て驚く。一時退院した花山は読者からの原稿が届いたころだから仕事がしたいと言う。「いいかげんになさってください!」。常子は花山を叱りつける。常子は、家族も社員も心配しているのだから、もっと真摯に受け止めるべきだと言葉を重ね、花山に自宅に戻るよう命じる。「部下を信じて任せることも、上の立つ者の立派な責任なんじゃありませんか」と。

読者から来た数々の戦争体験の手紙を見せ、花山が納得するまで会社と花山の自宅を往復する覚悟だと伝える。読者の手紙に感銘を受けた花山は、送られてきたすべての体験談を載せたいくらいだと感想をもらす。すると、その言葉を聞いた常子は、戦争の記事だけで一冊の本にすることを提案する。戦争特集は『あなたの暮し』らしくないという社員。しかし、花山は、読者の反発の声もあるかもしれないが、これは価値があることだと説く。やがて完成が間近に迫ったころ、花山は再び入院を余儀なくされるが、ベッドで編集長の仕事を続ける

 

戦争中の暮らしを特集した『あなたの暮し』は多くの書店で完売。過去最高の売上を記録し、ついに念願の100万部を突破する。「後世に残したい雑誌」との読者の賛辞に、これこそ花山が望んでいたことだと安堵する常子たち。満足気に読者からの手紙を読む花山に、常子は体調を整えるよう伝える。ところが、さっそく次号の準備をすると息巻く花山。

昭和49年冬。そのころの花山は口述筆記が多くなっていた。ある日、筆記を終えた常子に、「もう一つ頼みたい」と花山。不思議に思う常子に、あとがきを依頼する。「今まで『あなたの暮し』をご愛読してくださったみなさまへ」という書き出しで始まるあとがき。花山は常子に、自分が死んだときの号に載せて欲しいと頼み、「書いてくれないか、常子さんにしか頼めないことだ」と言うのだった。

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昭和22年の創刊以来27年間、本当に良い暮らしを作るために掲げてきた“庶民の旗”。どんな大きな力にも負けない、戦争にも負けない。そんな旗を上げ続けられたのも購読してくれた読者のおかげだと感謝の言葉を連ねる花山。さらに、今まで『あなたの暮し』を読んだことのない人に紹介してほしいと続けると、「一人だけ新しい読者を増やしていただきたい。それが私の最後のお願いです」と口述を終えた。花山がいなくなったらどうしたらいいのかと弱気な常子。花山は2人の考えは同じだから大丈夫だと常子を励まし、「悩んだときは君の肩に語りかけるんだ。君に宿ってやるから」と常子を見つめる。そして、「おい、花山! どうしたもんじゃろの〜」。そう常子の口癖をして見せた。

花山から次号のイラストを手渡される常子。赤い服を着た女性の絵を見て「素敵な人ですね」と微笑む。すると、花山は「初めて私の絵を見たときも、そんな顔をしていた」とつぶやき、「常子さん、どうもありがとう」と頭を下げるのだった。「嫌だわ、花山さん。また来ますね」と笑う常子。

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「常子さん、ありがとう」と言われて別れた2日後、花山の家から電話がくる。修正の依頼かと常子が出ると、妻・三枝子から花山が息を引き取ったと連絡がある。呆然とする常子と美子(杉咲花)。三枝子から、花山が「『あなたの暮し』は常子さんに任せておけば安心だ」と言っていたと聞かされ、初めてほめられたと常子はつぶやき、涙が頬をつたう…。その晩、三枝子から預かった花山の最後の原稿に目を通す常子たち。その中に、常子、鞠子、美子、それぞれに送られた花山の原稿を見つける。美子に宛てた原稿には、「初めて出会ったころ、きつく責める私の言葉に必死に涙を堪えていた君の顔を今でも覚えている。それから、私が一時期会社を辞めたとき、説得をしに来たときの顔もね。君の情熱がなければ、『あなたの暮し』はあのとき終わっていたかもしれない」と。また、鞠子には「今でも君が仕事を続けていたらどうなっていただろうと考える。だが、君は結婚で大きな幸せとたまきさんという素晴らしい娘を得ることができた。たまきさんはきっと会社を支えるいい編集者になるだろう」。そして常子に宛てた手紙にはこう綴られた。「常子さん、君に感謝を伝えるには原稿用紙が何枚必要だろうね。たくさんのことを君に教えた。それとともに、たくさんのことを君に教えられた。君がいなければ今の私はいなかった。ありがとう」。花山は、常子ら編集部の面々が描かれたイラストを残していた。絵をみながら笑う常子たち。

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花山が逝去してから2ヶ月後、『あなたの暮し』は長年の功績が認められ、出版界で権威ある賞を受賞する。常子はその受賞を受け、テレビに出演することに。「花山さん、どうしたもんじゃろうの〜」。緊張する常子にハラハラする鞠子(相楽樹)と編集部員。司会者に編集方針を問われた常子はこう語るのだった。「戦争で奪われた豊かな暮らしを取り戻し、その暮らしの役に立つ生活の知恵を提案していければと。そしてそれが暮らしの中心にいる女性たちの役に立つ雑誌になっていければと、今も昔も、ただただそのことだけを念頭に置いて作っている」と。すっかり母親となった鞠子も美子も勢揃いした家族でお祝いをしたその夜、常子は不思議な夢を見る。

夜の「あなたの暮し出版」にひとりの男性の姿を見つける常子。それ人は、常子の父・竹蔵(西島秀俊)だった。常子は竹蔵に会社を案内し、いろんな人との出会いと助けがあってここまでの会社になったと説明する。すると、竹蔵は涙を流し、自分が常子に父親代わりを託したために苦労をさせてしまったと詫びる。常子は、自分は“とと姉ちゃん”とみんなから呼ばれていると竹蔵に教え、自分が女性の役に立つ雑誌を作りたいという夢が持てたのも、今、大家族とささやかな日常を過ごせるのも、すべてとと姉ちゃんだからだと感謝する。「私は、とと姉ちゃんでいられて幸せです!」と常子。竹蔵は、「常子、頑張ったね」と常子の頭を撫で、「ありがとう」と礼を言う。

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翌朝、常子は満たされた思いを感じ、父・竹蔵を亡くしてから掲げた3つの目標を、机の中にゆっくりとしまう。ときは流れ、昭和63年。「あなた暮し出版」の編集長の席には、変わらず常子の姿が。鞠子と美子も変わらず常子を見守る。そこへ、原稿の書き直しを執筆者に頼まなければならないと社員が駆け込んでくる。常子は、「お詫びだろうが、原稿依頼だろうが、ちゃんとお目にかかってお伝えしないと」と社員を叱ると、自分が詫びに行くと慌てて出かけていく。昔も今も、とと姉ちゃんは走り続けるのだった……。

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