昨年12月21日の夜、横浜ベイホテル東急のロビーは異常な熱気に包まれていた。中森明菜(51)7年ぶりのディナーショーが開催されるのだ。
明菜が公の場で歌声を披露するのは、14年末の紅白以来2年ぶり。“待望の復帰”を見届けようと、会場には満席540人のファンが集結した。その中には“ハマの番長”の愛称で知られた元プロ野球選手・三浦大輔(43)や、国生さゆり(50)の姿も。
午後7時、フレンチスタイルのディナーがスタート。コンソメゼリーとウニのロワイヤル、蟹のレムラードサラダ。この日のメインは、牛フィレステーキで、なんとビールにワイン、シャンパンまで飲み放題!とはいえチケット代は、お1人さま4万2千円也。決して安い額ではないが……。
料理がすべて供された午後8時過ぎ。ショーの始まりを告げるイントロが流れると、客席から大きな歓声と拍手が湧いた。高級フレンチの余韻を楽しんでいた観客は、いっせいに椅子をステージに向けて“臨戦態勢”に!
明菜は白×黒の華やかなドレスを身にまとい、仮面を被って登場した。最初に披露したのは、2年前の紅白で歌った『ROJO‐TIERRA』。
この日、本誌記者に同行したのはアイドル評論家の中森明夫さん(57)。34年前のデビュー当時から明菜を見続けた中森さんもこの日、異様な期待に胸を膨らませて会場を訪れたという。
だが明菜の第一声を聞いた中森さんは、心配そうに記者に「やはり緊張していますね。そのせいか、声もあんまり出ていない」とささやいた。続けて2曲目を歌い終わると、仮面を取った明菜。すると割れんばかりの拍手に「明菜、お帰り!」という歓声が飛び交った。大興奮の会場を見渡し、一転、静かになったファンに向かって明菜が口を開いた。
「ご無沙汰しています。中森明菜です。本当に本当に、みなさんには感謝感謝しかありません。この横浜ベイホテル東急でもうすぐ7公演目。最初は『絶対、やり遂げるのは無理!』って思っていたこの公演も、気付いてみればもう半分以上。自分でも『本当に!?』って、いまはそう思ってます(笑)」
この明菜の第一声にも「会いたかったよ~!」のラブコールが。温かい掛け声に涙ぐみながら、明菜はこう続けた。
「ありがとうございます。本当に思い起こせば、これまでいろいろなことがありました。一昨年、紅白に出させていただいたときにも、いま思えばとっても不躾な態度をとってしまい、ごめんなさい。期待していただいていたのに、こちらの勝手な演出で、スタジオだからとあんな革ジャン姿で歌ってしまい、後でVTRを見て大反省。いまでも後悔しているんです。本当にごめんなさい」
14年末の『紅白』で、明菜はニューヨークのスタジオから“生中継”で出演。そのかすれたような歌声は、ファンをハラハラさせるものだった。以来2年間、本人もずっと気に病んでいたようだ。明菜の“自虐MC”に、「大丈夫だよ!」「あれも素敵だった!」という声援が飛んでいた。