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「いま、ハーセプチンという抗がん剤治療をストップしています。抗ホルモン剤の投薬もストップしています。これは、俗にいう代替療法に切り替えたということです」

 

10月1日、乳がん啓発イベント「ピンクリボンシンポジウム2017」でそう語ったのは、南果歩(53)。その発言が論争を呼んでいる。

 

昨年2月に乳がんステージIとの診断を受けた南は、翌3月に手術。その後も再発を防ぐべく翌月からホルモン治療を開始し、同年7月からは冒頭の抗がん剤治療に加え放射線治療を行ってきた。

 

そんな彼女が標準治療をストップし、代替療法に切り替えていたと告白したのだ。具体的にはサプリメントを服用し、放射線治療後の患部にエミュー鳥のオイルを使用。“がん細胞は体温が低いところで繁殖しやすい”として代謝アップを心がけ、“がん細胞が糖質を好む”として炭水化物を控えているという。

 

ただし南は「標準治療というのはデータに基づいたゆるぎないものだと重々承知しています」と、あくまで個人的な決断だと強調していた。

 

だが会場に居合わせた医療関係者からは「彼女のいう代替療法には科学的裏付けがない。影響力のある人が発信すると、安易に同調する人が増えかねない」との声も出ている。ブレストピア宮崎病院の柏葉匡寛副院長もこう語る。

 

「治療方針というのは医師と患者の契約の形で始まります。副作用管理が最も重要で、患者さんが途中で投げ出してしまうことのないよう、副作用を抑える適切な支持療法と精神的支援が抗がん剤を用いる医師の腕の見せ所です。早期に治療を中止したことで、南さんが副作用の出やすい時期や期間を理解されていたのかが少し気になります」

 

その点、南は主治医にきちんと相談。彼女は標準治療の副作用が強く出ており、リンパ転移はない状態。それらを話し合った結果、主治医が「今の状態での決断なら決断を尊重できます」として、代替療法についての報告を条件にバックアップしてくれることになったという。

 

「実はこの主治医、今年6月にがんのため亡くなった小林麻央さん(享年34)の担当でもあった女性なんです。40代前半で、患者の悩みに向き合ってくれると慕われています」(医療関係者)

 

麻央さんはステージIVのがんに冒されながらも、昨年9月にブログを開設。初回では《素晴らしい先生との出会いに心動かされました》と告白。《がんの陰に隠れないで》と言われたことで《なりたい自分になろう》と前を向くことができたとつづっていた。

 

「治療方針というのは医師と患者の契約の形で始まります。副作用管理が最も重要で、患者さんが途中で投げ出してしまうことのないよう、副作用を抑える適切な支持療法と精神的支援が抗がん剤を用いる医師の腕の見せ所です。早期に治療を中止したことで、南さんが副作用の出やすい時期や期間を理解されていたのかが少し気になります」

 

そんな麻央さんは今年2月「水素温熱免疫療法」のクリニックに通う姿を目撃されている。同じ主治医にかかった2人は、くしくも代替療法の道を選んでいたのだ。

 

さまざまな治療法が世にあふれる昨今。慎重に、がん患者自身が決断していかなければならないのかもしれない。

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