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東京・渋谷区内の雑踏が、一瞬華やいだ。4月中旬の日曜日。夜7時すぎのことだ。オレンジのパンツに大きめの白のニットをざっくりと合わせた、ほぼすっぴんに見えるナチュラルメークの女性。石田ゆり子(48)だった。

 

この日、地下にあるカラオケ店で行われたのは今年9月に公開される映画『コーヒーが冷めないうちに』の打ち上げ。石田はじめ、主演の有村架純(25)、波瑠(26)、吉田羊、薬師丸ひろ子(53)ら豪華出演陣が一堂に会した。

 

サプライズも用意されていた。出演者あいさつで壇上に上がった薬師丸が、“生歌”を披露してくれたのだ。前出の映画関係者は言う。

 

「歌ってくれたのは、中島みゆきさん作曲の名曲『時代』です。薬師丸さんはこの曲を88年に主演した映画『ダウンタウン・ヒーローズ』の主題歌として当時カバーしていて、とても思い入れのある曲だそうです。デビュー35周年の記念ライブでも、アンコールで披露していました」

 

その歌声を目に涙を浮かべて聞いていたのが、石田だったという。芸能プロ関係者が話す。

 

「じつは石田さん、デビューする前から薬師丸さんにとても憧れていて、映画『里見八犬伝』はバイブルのように見ていたそうです。彼女は87年にデビューした後、とにかく苦労しました。そのころ上映していたのが『ダウンタウン・ヒーローズ』。憧れの薬師丸さんが歌う主題歌『時代』を、当時の石田さんは何度も聞いていたのでしょう。この日は薬師丸さんが歌う『時代』を聞いて、つらかったけれど薬師丸さんの歌声に励まされてがんばったあのころを思い出してしまったのかもしれませんね」

 

石田は、新人時代を雑誌『FRaU』16年12月号でこう振り返っている。

 

《生まれて初めて出演した映画が森田芳光監督の『悲しい色やねん』(88年)という作品だったんですけど、あまりにも何もできない私に、森田監督に「お前なんかやめちまえ!」と言われた、そのことは今でもよく覚えています》

《後になって、『何とかもう一回仕事をして褒められたい!』という気持ちがふつふつと湧いてきた。森田監督の一言が、私に俳優という仕事をしがみついてでも続けていこうと思わせてくれたんです》

 

打ち上げの最中、石田は薬師丸に積極的に話しかけていたという。心ゆくまで“憧れの女優”とのひとときを楽しんだのだろうか。約2時間の打ち上げを終え、会場の外に出て来た石田の表情は、満足気に輝いていた。

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