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連続テレビ小説『べっぴんさん』の第6週、すみれ(芳根京子)と明美(谷村美月)は良子(百田夏菜子)と君枝(土村芳)が抜けた中、睡眠時間を削って黙々とテーブルクロスを縫い続ける。君枝は戦地から帰ってきた夫の昭一(平岡祐太)に、仕事のことを言い出せないままでいた。テーブルクロスの完成が心配になった君枝と良子は、「少しだけなら手伝えるかも」と店に行くが、明美はそんな二人の覚悟を問い直す。

 

「自分のために中途半端なことをすんのやめてや。迷惑やわ」と明美。夫に店を辞めろと言われたのは嘘だったことを詰め寄られた良子は、明美も看護婦の仕事の片手間に店を手伝っているだけだと反論する。すると、看護婦の仕事を辞めさせらたことを明かす明美。驚くすみれたちに、泣いてるだけでは暮らしていけない。今は目の前の仕事を頑張ろうと思うと覚悟を語る。「あんたらも決めてや。やるなら責任をもってやる。やらへんやったらやらんでええし」と明美。責任を持って仕事をできない君枝と良子は「ごめんなさい」と謝り、店から立ち去るしかなかった。

 

徹夜続きで完成させたテーブルクロスを依頼主の外国人夫妻に手渡したすみれと明美。直接依頼を受けた君枝も礼を伝えられるが、その様子を夫の昭一に見られてしまう。「どういうことや? 説明してくれ」と厳しい口調で問いただされる君枝。事情を知った昭一は「君枝が体を壊したら」と心配するが、君枝の願いを聞き入れ働くことを許す。

 

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復帰した君枝は商品を補充するため、帰宅してからも夜遅くまで商品を作り続ける。翌朝、大量の商品を持って出勤した君枝に、麻田(市村正親)は「ご主人、よう許してくれましたね」とつぶやく。するとすみれは、君枝と昭一が恋愛結婚だったことを明かす。

 

君枝は、体の弱い自分が入院先の病院で昭一と出会ったことを語る。そして義母や親戚から結婚を反対されたときも昭一がみんなを説得して守ってくれたと言い、「昭一さんのおかげで信じられないほど幸せです」と語る。

 

ところが君枝は張り切りすぎて体調を崩し、倒れてしまう。医者に働くことを止められた君枝は、お見舞いにきたすみれと明美に改めて仕事を続けられないと告げる。すみれに一緒に仕事をしようと言われて希望をもらった。しかし「私は昭一さんにも感謝してる。こんな私と結婚してくれて。母親にまでしてくれて。だから、ごめんね。もう戻らない」と君枝。それから数日後、君枝の容態は悪化。すみれと一緒に見舞いに行った明美は、昭一に「生きていくには希望が必要だ」と訴える。「なんとか現状維持しよう思うんやなくて、元気になれば、その先にこんなことが待ってるって未来を夢見ることが人をいちばん元気にするんです」と明美。

 

すみれたちの店に来るお客さんはいつも同じ人たちに限られていた。そこで麻田は、客を増やすための対策を考えるべきだと提案。父の五十八(生瀬勝久)に相談すると、商売には最低でも3つの売り文句が必要だと示唆される。「自分たちで、自分たちならではの何かいうのを見つけられるかどうかや」と五十八。すみれは、「母親の気持ちがわかる」「赤ちゃんのために作り方にもこだわっていい生地を使ってる」と2つまで答えられたものの、3つ目が出てこない。「宿題や!」と五十八。

 

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ベビーショップに一時外出した君枝が、昭一とともにやってくる。すみれと楽しそうに会話する君枝を見ながら「君枝にはここが必要な場所なんやな」と昭一。だがまた倒れたりしたらと心配する昭一に明美は、時間を決めて、ムリなく働くことを提案する。仕事を「よろしくお願いします」とすみれたちに頭を下げる昭一。君枝は仕事を再開できる喜びで、涙を流すのだった。

 

戻ってきた君枝と店を続けるすみれたち。そこへ時子が「すみれにもらった肌着を着せたら、子供の夜泣きが直った」と報告にやってくる。麻田が「まるでベビー相談室ですね」とつぶやくと、「それよ!」と目を輝かせるすみれ。育児に詳しい看護婦の明美の知識を生かし、店でベビー相談室を開こうと思いつく。梅田の闇市へ出向いたすみれは、宿題の答えを五十八に告げる。子育てに悩みを抱える母親たちが気軽に集まれる場所を作ることで、多くの母親に店を知ってもらえるし、継続的に人が来ると説明するすみれ。それを聞いた五十八は「なんちゅう、ええ考えや!」と感嘆し、すぐにでも始めるといいと背中を押す。

 

そんなある日。店に飾ってあるワンピースを、何度も店を訪れていた少女・美幸(松田苺)に着せてあげることに。改めてその服の工夫に感心したすみれは、設計した良子のことが気になり、会いに行く。君枝が店に戻ったことやウインドーに飾っていたワンピースを女の子に話をしながら、久しぶりに良子との会話を楽しむすみれ。しかし同時に、再就職がなかなか決まらない夫の勝二(田中要次)との関係が上手くいっていないことを知る。

 

心配したすみれは、良子が受け取らなかった給金で質に入ったままの良子の時計を買い戻すよう勝二に提案。その時計は結婚の際に勝二が良子に贈ったものだったが、生活のためにお金に換えてしまったものだった。「良子ちゃんは、大事な、大事な友達です。良子ちゃんを幸せにできるのはご主人しかいませんから」とすみれ。勝二は時計を買い戻し、再び良子に贈る。「この時計は、一緒に時を刻んでほしい思うて渡したんや」と言い、良子の腕に時計をはめる。「もういっぺん、一緒に時を刻んでくれ」と勝二。その言葉に、良子は涙を浮かべ笑顔で応えるのだった。

 

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店を訪れ、すみれのおかげで夫婦の信頼を取り戻したと礼を言う良子。そこへ、入学式の美幸がワンピースを着て祖父の光太郎(芦屋小雁)とやってくる。光太郎は、両親を亡くした孫がこのワンピースのおかげで久しぶりに明るい笑顔を取り戻したと感謝する。美幸の髪を結ってあげる良子。開店時に「入学式」をテーマにワンピースを作ったことを思い起こす。「ここで、もういっぺん働きたい」と良子。笑顔でうなずくすみれたちは、こうして再出発するのだった。

 

そんな折、帰宅したすみれをひとりの男が待っていた。夫の紀夫(永山絢斗)と同じ戦場にいたという中山(井上拓哉)は、「これをお返しにやってきました」とすみれに手渡した。それは、すみれが出征する紀夫に持たせた裁縫道具。いまだに消息がわからない紀夫を思い、涙にくれるすみれ。

 

初めて開催したベビー相談室にはたくさんの母親たちが集まる。しかし、看護婦の明美の話を聞いて商品の良さは理解するものの、お金がなくて買えない母親が多かったことに気づいたすみれは、安価で買える型紙や材料を売っていく事を提案する。裁縫が得意でない姉のゆり(蓮佛美沙子)が型紙をもとに肌着を完成させたことで、型紙と生地のセット売りに可能性を感じる4人。店の経営が軌道に乗り始めた一方、すみれは夫との幸せな時間を過ごす君枝たちを見ながら寂しさも感じていた。

 

そんなある日、すみれの家に紀夫の両親が訪れる。孫のさくらの成長ぶりを見て眼を細め喜ぶ2人だったが、すみれに話があると言う。「紀夫のこと、もう諦めてもらえないだろうか」と義父の五郎(堀内正美)。その言葉に、すみれは大きな衝撃を受けるのだった。

 

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第7週の『べっぴんさん』は、すみれに思いを寄せる栄輔(松下優也)との間に新たな展開が。紀夫の両親から「息子は戦死したかもしれない、どうかもう待たないでくれ」と懇願され、困惑するすみれ。そんな折、麻田が「商店街の空き店舗にベビーショップを移転したらどうか」と提案する。見学をするとアイデアが膨らみ、すみれたちはぜひ挑戦してみたいと思う。試作品づくりで夜遅くなったある日、栄輔がすみれを家まで送っていく。すると、さくらが栄輔を「お父さん」と呼んでしまい……。

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