「万引き家族」でカンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドールを受賞した是枝裕和監督(56)が、6月7日にブログを更新。林芳正文部科学大臣(57)からのパルムドール受賞への祝意辞退を表明した。
7日の参院文教科学委員会で野党議員からの進言を受け、是枝監督に祝意を伝えると示していた林文科相。それを受け、是枝監督がブログで祝意辞退を表明した形だ。
是枝監督はブログで「実は受賞直後からいくつかの団体や自治体から今回の受賞を顕彰したいのだが、という問い合わせを頂きました。有り難いのですが現在まで全てお断りさせて頂いております」と告白。自身への祝意をすべて辞退していると明らかにした。
ブログでは続けて「もちろん、例えば敗戦からの復興の時期に黒澤明の『羅生門』がベニスで金獅子賞を獲得したことや、神戸の震災のあとに活躍したオリックスの球団と選手を顕彰することの意味や価値を否定するものでは全くありません」と祝意そのものへの敬意は表しつつ、「しかし、映画がかつて、「国益」や「国策」と一体化し、大きな不幸を招いた過去の反省に立つならば、大げさなようですがこのような「平時」においても公権力(それが保守でもリベラルでも)とは潔く距離を保つというのが正しい振る舞いなのではないかと考えています」と続けた。
こうした是枝監督の姿勢に、ネット上では≪表現者として見事なスタンス≫≪筋の通った姿勢がただただかっこいい!≫と称賛の声が多く上がっている。
またブログ終盤で「決して波風を立てたいわけではないので「断った」などとはあえて口にしないでおりましたが、なかなかこの話題が収束しないようなので、本日ここに公にすることにいたします。なので、このことを巡る左右両派!のバトルは終わりにして頂きたい」とつづった是枝監督。あくまでも自身にまつわる騒ぎを沈着させるため表明したようで、そんな冷静かつ真摯な対応にも評価が集まっている。
パルムドールだけでなく、表現者としての姿勢にも評価が高まる是枝監督。早くも次回作への期待が高まるばかりだ。