境内の木々もわずかに色づき始めていた11月3日、東京都内の寺院を訪れたのは女優・真矢ミキ(54)だった。166cmの長身でいつも颯爽としたイメージのある真矢だが、通夜が行われる斎場へ向かう彼女は、うつむき加減で、心なしか小さく見えた。
真矢ミキ“最愛の母”の逝去が、所属事務所によって公表されたのは10月30日のこと。
《弊社所属の女優・真矢ミキのご母堂・佐藤雪子儀(享年88)が平成30年10月27日心不全により逝去いたしましたことを謹んでご通知申し上げます》
母に認知症の症状があることを真矢がブログで明かしたのは8月20日。
《今日、母が私を忘れていた。今年で米寿を迎える母 母の夫、私にとっての父が他界してから約14年が経つ あの父が亡くなった夜から、母は少しづつ悲しみを忘れたいのか、現実逃避していった気がする》
そんな悲痛な告白から、わずか2カ月で母・雪子さんは逝ってしまったのだ。芸能関係者は言う。
「ブログのコメント欄には真矢を励ます声も多数寄せられました。事務所が逝去を公表した翌日には、真矢がMCを務めている情報番組『ビビット』(TBS系)で何らかの報告をするのではないかと見られていましたが、彼女は何も語りませんでした。彼女のブログも9月25日以降はストップしています(11月5日現在)。その悲しみの深さがうかがえますね」
真矢は9月上旬のインタビューで母・雪子さんを老人ホームに入所させていたことを語っている。’16年に、雪子さんが真矢夫妻と同居していた家の玄関で尻もちをつき、股関節の一部を骨折してしまったことがきっかけだったという。インタビュー中の真矢の言葉には、施設へ入所させたことが、母の認知症をより進行させてしまったのではないかという悔恨もにじんでいた。
《しかし、認知症にならないためには生きた会話がないといけないと、思ったのも事実。いくら1対1で介護士が付くといっても、YES、NOの会話の連続では、やはり駄目だということも、毎日会いに行くということより、生きた会話をしなければいけなかったんだと今は思います》(『女性セブン』9月20日号)
母の逝去後に沈黙を保っていたのは、“ほかの選択肢も探すべきだったのでは”という自責の念を募らせていたからなのだろうか。老人ホーム入居者の家族について調査をしている大妻女子大学人間関係学部人間福祉学科の井上修一准教授は言う。
「ホーム入居者の家族は『不自由な場所で生活させている』など、多少なりとも罪悪感や後ろめたさに囚われているケースが多いのです。また介護をしていた相手を突然失ったことで、家族はやり場のない喪失感に襲われます。『もっと親孝行できたのではないか』『もっと会いに行けばよかった』……。頑張ってきた家族ほど、そうした後悔の念は強まる傾向にあります」
通夜・告別式が営まれた寺は平安時代に創建されたと伝えられる古刹で、付近の住民からは散策スポットとしても親しまれている。
「お寺は真矢さんのご自宅からも近いですし、きっとお母さまと歩かれた思い出もあるのでしょう」(真矢の知人)