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「実は、今年の頭くらいに夫の篠田正浩さん(88)が体調を崩されたそうなんです。深刻な病気というわけではないのですが、年齢的なことも考えて、現在は自宅療養中だと聞いています。志麻さんは篠田さんをサポートするためにしばらく女優業をセーブしているそうです」(夫妻をよく知る映画関係者)

 

昨年デビュー60周年を迎えた、女優の岩下志麻(78)。夫で映画監督の篠田さんは、03年の映画『スパイ・ゾルゲ』で現役を退き、以降は日本芸能史の考察に没頭。今年、『卑弥呼、我を惑わす』(幻戯書房)を出版した。岩下も、60周年を記念して『美しく、狂おしく』(文藝春秋)を出版したものの、3年前のドラマ『鴨川食堂』(NHK)出演以来、女優休業状態が続いている。

 

表舞台から消えた、“伝説の女優と監督”夫婦はいま、どんな生活を送っているのか。5月上旬、本誌は2人が暮らす都内の豪邸を訪れた。すると、なんと改修工事の真っ只中。リフォーム業者がせわしなく出入りし、工事音が響いている。近所に住む主婦はこう話す。

 

「あのお家はもともと岩下さんのご両親や娘さんも一緒に住んでいたため、夫婦2人っきりになったいまはちょっと生活しづらいのかもしれません。高齢のご主人のことも考えて、バリアフリーの観点からリフォームを始められたみたいですね。志麻さんは自宅前でテキパキと業者に指示をしたり、花壇のお手入れをしたりと、最近もよくお見かけします。でも、ご主人の姿は全然見ていませんね……」

 

岩下と篠田監督の出会いは、彼女が19歳のとき。女優デビュー2作目の映画『乾いた湖』の監督が篠田さんだったことがきっかけだった。交際を経て、67年に結婚。73年には長女を出産した。

 

「いまとちがって当時は、女優は結婚したら即引退という時代。でも、篠田さんは志麻さんに女優を続けてもらいたかった。監督のほうから『あなたは女優だから、家事はやらなくていい』と話したというのは有名な話です」(前出・映画関係者)

 

04年の紫綬褒章受章に続き旭日小綬章を受章した12年、岩下は夫への感謝の気持ちを本誌にこう明かしている。

 

《篠田と出会えて本当に良かったし、彼には感謝、感謝です。献身的で、家庭的な奥さんを求める人なら、私は3日で追い出されてますよ(笑)》

 

女優業に専念するため、これまでいっさいの家事を住み込みのハウスキーパーに任せていたという岩下。そんな彼女が結婚53年目にして、“初めての家事生活”を始めていたのだ。

 

「いまもお手伝いさんにサポートしてもらいながらではありますが、志麻さんがご主人の健康を気遣った毎日の献立を考えたり、買い物や掃除をしたりと毎日主婦業をこなしているそうです。自宅のリフォームも志麻さんのアイディア。“少しでも夫が暮らしやすいように”と知恵を絞ることが楽しみのひとつになっているんだとか。そしていちばんは、体調がすぐれない夫のそばにいてあげたいという気持ちでしょう。今後は夫婦2人の時間を大切にしていきたいんだと思います」(夫妻の知人)

 

実際、岩下は篠田さんが引退を迎えた03年、本誌のインタビューにこんな心境の変化を語っている。

 

《飛行機での移動は夫婦別々だったんです。だから、離婚寸前とか言われたりしたんだけど(笑)、それは、2人がいっしょに事故にあったら、子どもの面倒を見る人がいなくなってしまうという心配からだったんです。最近、ようやく、いっしょに飛行機に乗れるようになりました。(中略)これから、やっと女優としてではなく、妻としても、彼と向かい合える時間が増えると思います》

 

この日の昼下がり、自宅から出てきた岩下が迎えの車に乗って向かった先は、近所の神社。日課なのか、慣れた様子で拝殿へ向かい、信心深く手を合わせる。「家内安全」のご利益が得られるというこの神社で、岩下は“愛する夫と長生きできますように”と祈りを捧げたのだろうか――。

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