女優の中村玉緒(80)と俳優の勝新太郎さん(享年65)夫妻の長男・鴈龍太郎さんが亡くなっていたと12月3日に発表された。55歳だった。
日刊スポーツによると仕事関係者が自宅を訪れたところ、亡くなっているのを発見された鴈さん。死因は急性心不全。葬儀や告別式はすでに近親者で行われており、勝さんと同じ名古屋市内の墓に眠っているという。
「鴈さんはかつて勝さんの付き人を務め、その後は息子であることを隠して役者修業をしました。そして89年、勝さんが監督・脚本・主演を務めた映画『座頭市』で映画デビュー。しかし真剣を用いた撮影中に誤って切りつけてしまい、斬られ役の役者が死亡。業務上過失致死の疑いで取り調べを受けましたが、後日に無罪となりました」(映画関係者)
一人息子に期待していた勝さんからときには愛情深く、ときには厳しく指導されていたという鴈さん。しかし名優から英才教育を受けるようになってから30年余り、その才能が開花することはなかった。
今年5月、中村の古くからの知人は本誌取材に「この2年間ほど鴈と玉緒さんは絶縁状態でした。玉緒さんから切り出したと聞いています」と明かしていた。
「97年に勝さんが亡くなってから、玉緒さんは鴈とバラエティ番組で共演したり自分が出演する舞台のプロデューサーに頼み込んで役を与えてもらうなどのサポートをしていました。鴈にも勝さんの名前に恥じないようにと頑張る気持ちはあったのですが、プライドが高くあまり“使いやすい俳優”とはいえなかったそうです。くわえて玉緒さんの経済的援助もあったので、やる気も長続きはしなかったようです」(前出・中村の知人)
06年1月の「婦人公論」で「私はちょっと贅沢をさせて、(子供たちの)育て方を間違えたかもしれません。でも、私にとっては、大事な子供たちです」と話していた中村。しかし、“縁切り”を言い渡した。
「何十年も『きちんと仕事をしてほしい』と鴈に苦言を呈してきた玉緒さんですが、もう80歳。苦渋の決断を下さざるを得なくなったのです。鴈は17年、舞台に出演しました。実に2年ぶりの俳優仕事でしたが、その後も働く素ぶりを見せませんでした。玉緒さんは『私が面倒をみている限り、あの子が立ち直ることはない』と考え、娘さんとも相談したうえで絶縁を決意。そして、経済的援助を打ち切ったと聞いています」(前出・中村の知人)
本誌は5月、中村に直撃し絶縁の真意を問うていた。すると“鴈龍太郎”の名前を聞いた途端に口をつぐんでしまった。いっぽう同席していた長女が「親子関係は悪くないです。それにプライベートのことですので……」と静かに返答。そして、2人は自宅に戻っていった。
経済的支援を打ちきり、さらに絶縁状態となった矢先の孤独死。母の胸中はいかに――。