「これまでドラマ出演のオファーはすべて断っていたそうです。しかし今回の朝ドラには、並々ならぬ熱意を持っていました。いつも台本を持ち歩いているほどで、周囲からも期待の声が上がっていたんです」(テレビ局関係者)
3月29日、志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎でこの世を去った。享年70。各紙によると近親者のみで通夜・葬儀・告別式を行い、後日にお別れの会の開催を検討しているという。
17日に倦怠感を訴え自宅静養に入り、19日に発熱と呼吸困難の症状が出たという志村さん。20日に主治医から重度の肺炎と診断され、緊急入院することになった。医師が新型コロナウイルスの検査を実施し、23日に陽性と判明。24日には感染症の専門病院に転院し、ICUで治療を受けているとも報じられていた。
12月公開予定の松竹100周年記念映画『キネマの神様』で初主演が決定していた志村さん。そしてもうひとつ意欲を燃やしていたのが、初のドラマ出演だった。3月30日にスタートしたNHK連続テレビ小説『エール』。志村さんは日本を代表する作曲家・小山田耕三役で出演し、昨年12月から収録に参加。3月6日にもシーンの収録が行われていたという。70歳にして役者挑戦を続けていた志村さん。その裏には今のテレビ業界を憂う考えがあったようだ。
「志村さんは最近のテレビ番組を見て『コント番組も時代劇もどんどんなくなって、画一的になってきた』とこぼしていました。長年にわたって第一線で活躍してきた志村さんは『今のテレビ業界を変えていきたい』という気持ちが芽生えていたようです。だから自分がまったく新しいことに挑戦することで、化学反応を起こしたいと考えたのでしょう」(芸能関係者)
そこには同じく俳優に挑戦した、いかりや長介さん(享年72)の存在もあったのだろう。かつて不仲が報じられたこともあった2人。だが昨年4月の『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)で志村さんは「僕の師匠としては間違いなかった」と語っていた。
「最近の志村さんは、亡きいかりやさんについて『何か新しいことに挑戦する気持ちはわかる気がする』と話していました。そして『俺も(いかりやさんみたいに)賞を狙おうかな』とも。年を重ねた今の自分だからこそ、できる演技がある。そしてそれがエンタメ界の未来につながっていく。そう信じて、志村さんは覚悟を持って取り組んでいたのだと思います」(前出・芸能関係者)
残念ながら、その夢はかなわなかった。だが出演シーンはすでかなり撮り終えていたものの、訃報を受けて「エール」の公式Twitterはこうつづった。
《志村けんさん、いつまでも新しいことにチャレンジする姿に、みな「エール」をもらいました。収録したシーンは、そのまま放送させていただく予定です。謹んでお悔やみを申し上げます》
「女性自身」2020年4月14日号 掲載